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Movie Review 9月22日(SAT.)

ファイナル・
 ファンタジー

公式サイト: http://www.ff-movie.net/

 西暦 2008 年 7 月。人類は絶滅の危機に直面していた。核兵器をはるかにしのぐ超磁力兵器が世界の半分を一瞬にして…おっとこれは別の話。西暦 2065 年、隕石とともに飛来した「ファントム」と呼ばれる地球外生命体に人類は侵略されており、なんかー、生命に波動があってですねー、ファントムを無力化する波動をつくり出すためにー、主人公アキは 8 つの生命体を集めねばならぬのでーす…と設定を聞いただけで私はもう立っていられないくらいの脱力感に襲われつつ(座ってましたが)、地球も一つの生命と捉えるガイア理論とかー、つまんな過ぎてやっぱりぐったり。

 いや確かに CG のリアリティはもの凄いことになっており、ここに到達するには並大抵ではない努力、とてつもない電力、莫大な演算が費やされたのでしょうが、だから何? 印象は押井守『Avalon』に似ております。『Avalon』の場合、実写で撮ってコンピュータで画像処理を施しておりました。アニメ的感触を目指した実写『Avalon』と、実写クオリティを目指したフル CG 『ファイナル・ファンタジー』が似ているというのは面白いですね。面白くないですか? とりあえず映画は面白くないんです。

 CG で描かれる人物がリアル過ぎて、結局、無名ヘタ役者が多数出演する B 級 SF 映画になっております。「B 級 SF 映画」として見るとどうか? 『タイタニック』『パール・ハーバー』風古典的ラブロマンスが潜り込んできており、これがまたつまらなさに拍車をかけております。女性客を集めんがためにはロマンチックも必要なのでしょうが、コンピュータオタク、ゲームオタクがシコシコ作ったラブロマンスってなんか気色悪くないですか?(偏見入ってます。スイマセン。)

 左様、『Avalon』『ファイナル・ファンタジー』の詰まらなさ・気色悪さは、映画が作者によって完全にコントロールされてしまったことにある、と思うのです。映画作りとは、山のように押し寄せる難問と向き合い、生身の人間関係が火花を散らして進められていくものだと思うのです。その苦労を重ねて初めて、作り手の意図を超える映画の神が降臨するのではないでしょうか。映画を完全にコントロールするのならば、キューブリックや黒澤明のように、自らが傲慢な神にならねばならないのです。適当。

 やたら声の出演が豪華ですが、スティーブ・ブシェミとか、ドナルド・サザーランド、ビング・レイムスを CG 化して動かしていればもうちょっと面白かったかも。作り手の意図を常に超えようとする、俳優・スターの役割はやっぱり大きいのです。

 しかし CG のクオリティは一見の価値はあり、オススメでございます。アッという間に陳腐化してしまうと思いますので、お早めにどうぞ。

BABA Original: 2001-Sep-22;

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