どつかれて
アンダルシア(仮)
ペドロ・アルモドバル以外の久々のスペイン映画。…って現在公開中の『蝶の舌』もスペイン映画でんがな。それはともかくまずオープニングのタイトルバックがアニメーション。アニメで始まる映画ってワクワクしませんか? しませんか。そうですか。冒頭、警官隊に追いかけられる車 2 台、音楽は、ぶんがぶんがぶんがばばーん! ばばーん! とやたらと威勢がよく、「おお、近頃の映画には珍しく映画が最初からちゃんと映画として始まっているゾ!」と思ったのです。なんか最近、映画が始まってもなかなか面白くならない映画って多くないですか? ないですか。そうですか。
車 2 台はテレヴィ局に乗り付け、降りてきた 2 人はどうやら 10 年ぶりに再結成された漫才コンビで本番でいきなり…と、ツカミはバッチリなのでした。
ひょんなことから「ドツキ漫才」コンビを組んだニノとブルーノ。やがてスペインの国民的コメディアンとなるのですが、舞台裏では反目、とうとう…というお話し。
「ドツキ漫才」。「ドツキといえば、関西特産やと思てたけど、スペインにもドツキがあったんかーッ!」と一瞬、不明を恥じたのですが、「正司敏江・玲二」みたくダイナミックにバトルが繰り広げられるわけでもなく、ペシッとほっぺたをひっぱたくくらいのものでして、映画を見終わる頃には「ふふん、こんなもんドツキやないで」と関西人我々(誰)は心の平穏を取り戻すことウケアイです。
左様、人気絶頂のニノがバルセロナ・オリンピックの開会式セレモニーで唄ったり、とか、新たな相方(アイカタ)をドツキ/ドツカレぶりでオーディションするギャグはさながら「ひょうきん族」を見るかのごとき面白さがあるのですが、そもそも 2 人のコメディアンぶりがさっぱり面白くないのは如何ともしがたい。例えば日本でも、私生活ドロドロの漫才コンビネタには困らないわけでして、ここらで一発、太平サブロー主演・小林信彦原作『天才伝説横山やすし』完全映画化とかブチかましていただきたいものです。
そんなことはどうでもよくて、観客をアッと驚かせといてボチボチ回想に入り、映画の終盤でオープニングが繰り返され、ソレはまた違った感慨がある、という構成はまさしく「映画」なのであって、こういう「脚本をよく練る」伝統がスペインでは今なお息づいているのかな? もっと見たいぞスペイン娯楽映画! なんか監督のアレックス・デ・ラ・イグレシアは『エイリアン』シリーズの監督のオファーを断ったことも、とハリウッドも注目しているそうで。『ビースト/獣の日』『ペルディータ』などが日本公開されているそうですし要チェックかも? 知らん。出演は見なれぬ人ばっかし、爆笑コメディを期待するとガックシなのですが(「ばっかし」「ガックシ」で韻を踏んでいるのです)、久々に「映画らしい映画」なのでオススメです。って昨日でみなみ会館の上映終わってるがな。失礼しましたー。
BABA Original: 2001-Sep-13;