リムジン・ドライブ
山本政志監督最新作。『てなもんやコネクション』はよくわからず、『JUNK FOOD』は、まあ面白かったんですが(『ロビンソンの庭』は見てません)、全編ニューヨークで製作されたこの映画、これはイイ!
いわゆるガングロコギャルが彼氏を追ってニューヨークへ。なんか、石ころを使った占いで稼いだそうです。これぞ「バッチリ娘のドシロウト占い」か? と勝手に想像したのですが、そんなことはどうでもよく、リムジンをチャーターしニューヨーク巡り、その運転手黒人、周辺のマイノリティたちとのアレコレを描きます。
日本人がアメリカへ行ってどうこう、というと北野武監督『BROTHER』でヤクザと黒人の共闘が描かれましたが、今回はコギャルと黒人の連帯を描きます。
やはり、日本人は黒人と連帯しなければならない。そのために必要なものは何か? それは「ファンキー」である。日本で真にファンキーな存在、それはコギャルなのだ、と山本監督はコギャルの可能性を明らかにします。
コギャルとは、自らの本能に忠実に生きる存在で、場所や人によって態度を変えるなんてことは決してせず、いい男にはほいほいアタックをかけ、忍耐は知らず、すぐにキレ、…という、和をもって尊しとす日本人の特質を捨てた、脱・日本人なのですね。日本人であって日本人であることを止めてしまった存在です。日本人をやめてみれば、ファンキーという性質が現れ、ファンキーな黒人と容易く連帯することが出来る、と。
コギャルと対比する形で、『JUNK FOOD』にも出てた鬼丸扮する日本人が登場しますが、彼はのし上がりを目指して華僑と共闘します。しかし日本人と中国系アメリカ人との共闘は、利害関係のみにもとづくものでして、簡単に破綻してしまうのですね。お互いの不信感は根深いようで。
これからもし属国日本がアメリカ(白人)の支配を脱していく場合、他民族と共闘を結んでいく突破口となるのは、コギャルなのであります。利害でなく、まずはファンキー(またはソウル)で結びつかねば、ってことで…って、コギャルってまだ生息しているのでしょうか?
そんなことはどうでもよく、『てなもんやコネクション』の破綻ぶりはどこへやら、92 分のキッチリいい話にまとめあげた山本監督の手腕・脚本力は素晴らしく、コギャルのニューヨーク巡りが繰り返されるところはホロリと来ましたよ。
リムジン運転手を演じるベーシストの T. M. スティーブンス(音楽も担当)がイキイキとした演技を見せ、イエーイ! ファンキファンキ! です。脇役パキスタン人とか、日本人監督が演出したとは思えないシックリ感で驚き。
で、現役コギャル仲祐賀子嬢のコギャルぶりがバチグンに素晴らしい! コギャル最高! これまでの山本監督作品が苦手な方にも強力にオススメです。イエーイ! リームジン・ドラーイブ!
BABA Original: 2001-Nov-12;