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Movie Review 5月16日(WED.)

タップ・ドッグス

 同名のオーストラリア出身パフォーマンス集団があって、世界中が熱狂しているとのこと。シドニー五輪開会式でも圧倒的なタップを披露されたそうで、その「タップ・ドッグス」主宰者、今をときめく振り付け師デイン・ペリーが半自伝的ストーリーを自ら監督した作品です。

 オーストラリアの製鉄所勤務ショーンはタップの名手にて、オーディションに合格、ダンサーを夢見てシドニーに出かけるも、何かと制約が多いコーラス・ラインなんかやってられっか、と故郷に戻り、「ステップを忘れたら…? 即興だいっ!」と、新しいタップダンスを模索するグループ結成に奮闘します。

 それに絡めて兄貴や父親とのアレコレ、美容師さんとのロマンス、など、『リトル・ダンサー』+『フル・モンティ』を足したような足してないような、ほんっっとにどうでもいいストーリーが展開します。これ一本で最近の傑作ダンス映画のエッセンスを楽しめるお得な中身となっています。

 と、全くイケてない豪州労働者階級の阿呆ぶり全開なのですが、クライマックスの「タップ・ドッグス」(劇中では「Bootmen」)の初公演シーンがとてつもなく素晴らしい!

 タップといえば、フレッド・アステアが有名処でしょう。シルクハットにステッキなんか持っちゃってさ、女子とイチャイチャしたりして、「洗練」をその命とするものです。しかし、今やタップは、自らの肉体しか表現手段を持たない第ニ次産業労働者階級のものとなったのだ! と、『タップ・ドッグス』は高らかに宣言します。

 そのタップとは…。シューズは改造安全靴、衣装は鉄鋼労働者そのもの、錆臭い廃工場の機械の合間を縫いロッケンロールの伴奏でオッサンどもが踊り狂う! ちょっと『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の圧延工場ダンスシーンを彷彿とさせますが、ひょっとしたらタップ・ドッグスがモトネタなのかも知れませぬね。

 ムーラン・ルージュ誕生秘話を描いた『フレンチ・カンカン』(ジャン・ルノワール監督)のクライマックスに匹敵する圧倒的なダンスの饗宴です。気づいてみると、何だかよくわからないけれど私は滂沱たる涙を流して感動していたのでした。

 田舎臭さを我慢すれば、とてつもない迫力のタップシーンが待ち受けている、というわけでダンス映画好きは必見! 『ハンニバル』よりはオススメです。

BABA Original: 2001-May-16;

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