プルーフ・オブ・
ライフ
「Proof Of Life」とは、生きていることの証――誘拐事件で、「人質が生きている証拠を見せろ!」というときのアレ(何)です。
メグ・ライアン、ラッセル・クロウ主演です。M ・ライアンといえば、デニス・クエイドと、のほほ〜ん、のほほ〜んと夫婦でしたが、この映画の撮影中に R ・クロウといい仲になって別れてしまった…という曰く付きの作品で、売りも「この超大作で二人の鼓動がひとつになる。」…なーんて二人のラヴがクローズアップされておりますし、実際作品に陰影を与えていてグッと来ますが、それはあくまでスパイス、メインは人質救出サスペンスなのです。
ラッセル・クロウは、保険会社の依頼で動く、誘拐事件を専門とする交渉人です。ゲリラやテロリストに誘拐された外国人の人質解放交渉で世界を駆け回っております。
南米の架空の小国テカラで、ダム建設技術者デイビッド・モース(『グリーン・マイル』の看守の一人ですね)が、反政府ゲリラに誘拐されます。その妻が M ・ライアン。右も左もわからぬ南米で頼りになるのは R ・クロウのみ。ちょうど夫と口喧嘩をしたばかりで、そりゃ惚れるじゃろう、って感じですね。身代金交渉人とは、頼れるのは己の行動力と経験に裏打ちされた判断力のみの過酷な職業にて、ストイックに、冷静にコトにあたる R ・クロウのプロフェッショナルぶりが渋いです。『ボディガード』のケヴィン・コスナーのように、ほいほい依頼人とエッチしたりしないのが偉いですね。
交渉人、といってもシャベリに長けるのみでなく、みずから戦闘服に身を包んで人質救出作戦を指揮する、という戦闘のスペシャリストでもあって、オープニングとクライマックスの戦闘シーンがなかなかの迫力満点、R ・クロウの身のこなし・銃器の扱いも実にカッコいいのでありました。相手役の M ・ライアンも、ごく普通の主婦が誘拐事件に巻き込まれる話ですので、のほほんと庶民的な雰囲気が役柄にマッチしておりますね。
「ちょっと人が行かないようなところに行きたい」ってんで南米などに旅行にでかける方も多いとモレ聞きますが、いきなりゲリラに誘拐されちゃうのは結構身近な話ではないかしら。きっちりリサーチしていると思われるゲリラの描写、人質交渉のノウハウなど興味深かったりします。
かつてはソビエトの支援を受けて、アメリカ帝国主義打倒を掲げた反政府ゲリラも、冷戦終結後は革命の大義は何処へやら、誘拐で資金を稼ぐようになった…という、ゲリラに対する規定は、いかにもアメリカ映画らしいや、と思わぬでもないですが、2 時間 15 分の長尺なれどアレコレ工夫があって退屈しません。監督は『愛と青春の旅立ち』のテイラー・ハックフォード。撮影は『二人のベロニカ』『トリコロール 青の愛』などクシュトフ・キシェロフスキ監督とのコンビで知られるスワボミル・イジャックで、曇り空の南米の風景などたいそう美しいのでありました。
M ・ライアンが出ていると聞くとどうしても阿呆な映画を予想してしまいますが、見応え充分、オススメです。
BABA Original: 2001-Mar-30;
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