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Movie Review 4月2日(MON.)

ギャラクシー・
 クエスト

 約 20 年ほど前にオンエアされ、オタクに愛され続ける『スタートレック』風 SF テレヴィ番組『ギャラクシー・クエスト』。出演俳優はいまだにファンの集いでボンクラどもに囲まれ、番組の決めゼリフを言わされ続けています。他に仕事もなく、メンバー同士の諍いも耐えません。もううんざり。そんな彼らの前に、勘違い異星人が現れ、「自分たちの星は危機に瀕している。救いに来て欲しい」との依頼が…。売れない俳優たちの、本当のアドヴェンチャーが始まる…といったお話です。

 俳優が、現実と虚構の壁を越えて活躍させられてしまうという着想は、手塚治虫の短編でもあったと思います。日本では古典的と言えるアイデアですが、巨費を投じ最上級の特撮で映画化してしまうアメリカ人の度はずれた阿呆ぶりに、私は呆然と感動したのでした。

『ギャラクシー・クエスト』とはおなじみ『スタートレック』のもじりでして、スタトレファンならば「わかる、わかる」とニヤつくこと必至のクスグリが全編に散りばめられているようです。この映画は、そういうスタトレなど(『エヴァンゲリオン』とか?)に群がるオタクに対して、「オタクだって世界を救えるのだ、キミたちはオタク道に邁進してくれたまえ!」と応援のエールを送るものです。

『ギャラクシー・クエスト』の主要キャストたちは、冒険以前は「いつまでもボンクラに囲まれてていいのか?」と、自らのレーゾンデートル(存在理由)に疑問を感じています。しかしテレヴィ番組を本当と信じてしまい、テレヴィ番組をバイブルと崇め、テレヴィ番組に基づいて世界を造ってしまった異星人=超熱狂的オタクのために、俳優たちは命をなげうって奮闘します。更に、彼らのピンチを地球の引きこもりオタクたちが救い…と、とにかくオタク世界でオタクたちが助け合ってオタク皆ハッピー、俳優たちも嫌々言っていた「蜥蜴頭に懸けて必ず復讐を果たす!」のような阿呆なセリフを満々の誇りをもって決めてしまいます。「ギャラクエ」俳優として一生を全うしようと固く決意したことでしょう。

 そもそもこういう映画を作ろうなどという人たちはオタクですから、これで目出度しなのでしょうが、非オタクにとっては、「なんだか気持ち悪いことになってるなー」という感じなんですね。オタクを否定するのではありませんし、お話もとても良くできていると思うのですが、もう少し、非オタクとまともにおつきあいされてはいかが? と思ってしまうのです。

 例えば、「ギャラクエ」俳優たちが、非オタクから馬鹿にされまくっているとか、オタクたちが体育会系健康バカに虐められまくるなどの描写があれば、オタクたちの勝利の喜びにも共感できたと思うのです。オタクの人たちには余計なお世話ですね。あーオタク臭い。

 とはいえ、モンスター作りの王者スタン・ウィストンによる数々のバケモノや(ああ、こんなことを書くとオタクと思われてしまいますね)、おなじみ ILM の特撮も素晴らしく、捻ったギャグ満載であり、愉快な傑作ではあります。しかも『ダイ・ハード』の悪役などで知られるアラン・リックマンがミスター・スポック風の蜥蜴頭異星人を嫌々演じている風情は最高におかしいですね。世界でいちばん不幸な俳優の表情とはこれか! と深い感動を覚えたのでした。

 おまけに、ベテラン女優シガーニー・ウィーヴァーが、年増の脳たりんブロンド娘を喜々と演じているのも痛快です。と、いうか地はこっちなんじゃないか? というくらい素晴らしい! また、異星人が×××っぽくて危ないのも良いですね。オススメです。オタク的感性の持ち主には超オススメ。

 イオンシネマ久御山で上映中。私が見たとき観客はたった三人。こんな痛快作をヒットさせられないとは、なんと哀れな配給会社/宣伝部でしょうか…。可哀想に…。私の同情は、この映画のパンフレットを見た瞬間、怒りへと変わったのでした。フンヌー! 憤怒。なんとポテチ風のスナック菓子の袋にパンフが入っている! 袋を開けたらただのゴミです。しかも 1000 円。私は、こんなパッケージを考えた者どもは呪うぞ、と独りごちたのでした。完。

BABA Original: 2001-Apr-02;

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