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Movie Review 3月13日(MON.)

偶然の恋人

公式サイト: http://www.guzen.net/

 ベン・アフレック+グウェネス・パルトロウのラヴ・ストーリーにて、さすらば二人が如何に出会って如何に結ばれるかに脚本家は頭を痛ますところであるが、この映画の場合、邦題にも示されてはいるが偶然にもほどがある。いやはや。

 二人の縁を取り持つのは飛行機事故。アメリカ映画のトレンドは飛行機事故。ちょっと振り返ってもピーター・ウィアー監督ジェフ・ブリッジス主演『フィアレス』(1993)、去年の『ファイト・クラブ』『ランダム・ハーツ』、新しいところでは、(誰も見てないだろうが)ちょっとおもしろかった『ファイナル・デスティネーション』、さらに最新『キャスト・アウェイ』など、ばんばん飛行機が落ちまくっている。アメリカでは飛行機はころころ落ちるものとして認知されているのか? 航空会社に恨みを持つ者の陰謀か? 映画の中で飛行機事故がどのように扱われてきたか? とか面白いテーマだと思うが、誰か書いてないでしょうか?

 そんなことはどうでもよくて、ベン・アフレックは航空会社を大口クライアントに獲得して舞い上がる広告代理店の共同経営者。『ハート・オブ・ウーマン』でも広告マンがクソったれとして描かれていたが、ここでのベンもクソったれこの上なし。空港で悪天候のため足止めを食った者同士がバーで意気投合、ベンはチケットをゲットしているのだがせっかく仲良くなった美女とよろしくやりたいってんで同席していた戯曲家にチケットを譲る。その飛行機が見事墜落。命拾いはするは、美女とベッドインするわのツキまくりのオレ。

 おまけに事故後の企業イメージ回復キャンペーンでベンの会社は全米広告賞を受賞。さすがに寝覚めがよろしくなく、ベンは AA 、すなわちアルコホリック・アノニマス、アルコール依存症に転落。なんとかせねば、と死んだ戯曲家の奥さんに善行を施そうと企てる。元来が女好きのベンなので今度は未亡人にちょっかいを出す…、はてさて、という素晴らしい展開。戯曲家にすれば、飛行機事故で死ぬは、嫁さんは寝取られるはの踏んだり蹴ったり。可哀想過ぎ。

 あんまりといえばあんまりな話であるが、ベン・アフレックが人生の機微を解さぬホントのクソったれぶりを見せ、さらに未亡人を演じるグウェネス・パルトロウが泣かせるいじらしさで、話はアホだがここに流れる人間の感情にはリアリティが存在、例えば同じベン・アフレックの恋愛モノ『恋は嵐のように』のようなアホアホぶりとは一線を画す。

 汲み取るべき教訓は、上っ滑りな善意は他人を損なうモノなのだ、というか。実生活でも良い仲だったらしいベンとグウェネスの共演ぶりが見モノだし、シニカルながらも鋭い助言をベンに与えるゲイのアシスタントとか脇のキャラも良い感じ。話はアレだが、ディテイルの描写に優れ、意外と重めの映画であります。オススメ。

BABA Original: 2001-Mar-13;

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