京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Reviews > 01 > 0625
Movie Review 6月25日(MON.)

デンジャラス・
 ビューティ

 サンドラ・ブロックといえば、『スピード』『あなたが寝てる間に』などで、メチャ美人じゃないけれどもブチブチ文句を垂れつつ困難に立ち向かう、というキャラを確立。しかし、『ザ・インターネット』『スピード 2』など、どうにもこうにもキャラを生かし切れず、『恋は嵐のように』に至ってはハリケーン級の詰まらなさ。「このままではイカンぞな! もし」と『プラクティカル・マジック』では製作総指揮に乗り出しますが、これまた轟沈。

「本当にイカンぞな! もし!! こうなったらサンドラが全面的にプロデュースしちゃう!」と、製作に乗り出し、遂に見事なオレ様映画が出来上がりました。サンドラ・ブロックの魅力が大爆発! 痛いほどです。100 %サンドラ・ブロック! ご賞味ください。

 サンドラが演じるのは、容姿にまったく気を使わない堅物 FBI 捜査官です。連続爆弾魔がミス・アメリカコンテストを脅迫。FBI は、潜入捜査官をミスコンに送り込まんと欲し、サンドラに白羽の矢を立てます。サンドラは全米随一のエステシャンの手によって一晩にしてムチムチのお姉ちゃんに大変身し、ミス・ニュージャージーとしてコンテストに潜り込む、というお話し。

「やっぱりサンドラってミス・アメリカってイメージよね? サンドラもミス・コン美女とか演じたいわー、でもそのマンマじゃ嫌味よね、じゃあ FBI 捜査官が嫌々出場するのはどうよ?」との見事な計算です。サンドラがフェロモン系美女に変身した途端、よろめく FBI 上司もいたりして、やれやれ、って感じのお約束の展開に、ここまで自意識を炸裂させた女優は珍しいなあ、映画とは大衆の欲望を視覚化するものだが、個人の願望を実現する装置でもあったのだ、との今さらながらの事実に私は呆然と感動したのでした。自分が見たい映画を作る、自分が演じたい役柄を演じる、これぞ映画製作の最良の動機ですね。知らん。

 FBI 捜査官はバッチリ板に付くも、ミスコン美女姿のサンドラは若干の痛みを催します。セシル・B ・ディメンテッド的に評価するなら、20 年後に同一キャストでリメイクすれば、途轍もない傑作に仕上がることでしょう。一方、最近好調のマイケル・ケインが主人公に辛辣な助言を与えるエステシャン役を好演、カーク船長ことウィリアム・シャトナー、あら懐かしのキャンディス・バーゲンなどのピタリの配役も見どころです。ミス・コンの内幕も垣間見られ、オススメです。

 当初は「ミスコンなんて白痴女の品評会よ!」などとほざいていたサンドラですが、ミスコン美女達とつき合ううちに、彼女たちも精一杯生きている普通の女子に過ぎないと知り、断固ミスコンの守護天使足らんとガッツを見せます。「サンドラは全ての頑張る女の子の味方よ!」と、新たなイメージを振りまきます。アメリカなぞでは(日本でも?)イメージ戦略を立案する「イメージ・コンサルタント」なる職業があると聞きますが、この映画のニュー・サンドラぶりは、どうもソレ臭いですよね。よく知りませんが。

 しかし美女になっても、嫌味たっぷり、フガフガ鼻を鳴らして笑う主人公キャラはなかなか秀逸にて、サンドラ FBI 捜査官が様々な分野、例えばスーパーモデル業界とか、レースクイーン業界とか、アダルトヴィデオ業界とかに潜入捜査するシリーズ化も良いかも知れませぬね。

 ここで一句。サンドラや ああサンドラや サンドラや。

BABA Original: 2001-Jun-25;

レビュー目次