東京マリーゴールド
CM 界の奇才らしい市川準監督による、「なっちゃん」こと田中麗奈主演作。田中麗奈演じるエリコは、21 歳、いつまでもフリーターでふりゃふりゃしててはイカンぞなもし、と OL になったりして、OL らしく合コンに行ったれば、妙に濃ゆい顔の小澤征悦と知り合って初デートと洒落込む。
田中、質問を発す。「ねえ、彼女とか居るの?」
小澤、答えて「居るよ! この歳の男だったら大抵いるんじゃない!?」
私、それを聞いて「おいおいおいおい。こら。彼女いるんやったら田中麗奈様とほいほいデートするんじゃねぇ! ちょっとそこに座りなさい。IT 関係の有望企業勤務かなんか知らんが、それくらいの歳でも彼女がおらんヤツぁなんぼでもおるど。ええ加減にしさらせや。な?」と思わず画面に向かって罵倒してしまいました。いや、脱線脱線。
なおムカつくことに、それでも惹かれあう二人は逢瀬を重ね、のっぴきならないことになり、小澤の彼女は一年間サンフランシスコ留学中(←これもなんかムカつきます)にて、一年こっきりの恋人でおりましょう、ということに。あームカつく。
割り切ったおつき合いのつもりだったのに、それが…というお話しでして、音楽とか、東京の風景とか、妙にほのぼの、悩みや苦しみもあるけど、一生懸命生きるって素晴らしいんじゃない!? みたいなヌルい雰囲気も若干ムカついたりしますが、『がんばっていきまっしょい』でも最高だった田中麗奈が、やっぱり最高! です。ドキュメンタリー風に生活の断面を切り取る市川準の演出とあいまって、自然体演技が炸裂します。素晴らしいナー。どろりとした恋愛に足を突っ込んでしまった自然体ギャルの苦悩に、私は同情の涙を禁じ得なかったのでした。小澤、許さん!
かなりムカつく小澤ですが、ちょっと名作『シ…』…おっとっと、これを書いちゃあネタバレですね。危ない危ない…って感じの結末もあって、良くできた短編小説を思わせる味わい、…って、原作は林真理子の短編なんですが、市川準監督の近作の中では、…って、あんまり見てませんが、「お。なかなかいいじゃん!」とオススメしたい。
合コン、カラオケ、そいでから、あちこちに業界っぽさが漂い、ワタクシのような田舎者にとっては神秘のヴェールに包まれた東京のサラリーマン & OL 諸君の生態を垣間見ることができるのも見どころ。ここで一句。恋破れ 負けるななっちゃん ここにあり。
BABA Original: 2001-Jun-07;