PARTY7
石井克人監督の新作。『鮫肌男と桃尻女』は、なかなかの傑作であったが、今回は、ワタクシ的にはダメでした。しかし、監督本人をはじめ面白がっている人も多数おられるようなので、ぜひ、みなさん気にせんと見に行ってください。気にしませんか。すいません。
石井監督といえば、ちょっとタランティーノっぽかったりするので思い出したのが脱力コメディ『フォー・ルームス』。そういや、アレもタイトルバックがアニメーションだったかなあ。そういや本広克之の超脱力コント『スペース・トラベラーズ』もアニメが使われていたなあ。一体全体、どうなっているのだ? どれもこれも、一所懸命笑える映画を作ろうとし、作者たちは楽しく映画を作ったのであるが、ボクにはちっとも笑えないのだ。
どうやら石井ワールドは「絶妙なユーモア」らしいのだ。してみると、お正月に島田紳介とかトミーズ雅とか、ベタベタの関西ノリに親しんでしまったためにボクは絶妙なユーモアを解せぬヤツになってしまっていたのだ。
そんなことはどうでもいいのだ。お正月の深夜にテレヴィでやってる映画の話だ。かつては『駅前シリーズ』のような東宝喜劇が毎夜放送されていたのだ。森繁久彌、フランキー堺、伴淳三郎らの芸達者がコントを繰り広げていたのだ。それが今年の正月ときたら『エンド・オブ・デイズ』だの『ディアボロス』だのお正月から見るにおよそふさわしくない脱力映画を放映しているではないか。どうしろというのだ。
『PARTY7』の話であった。これが、ホテルニューメキシコなる閉じた空間で繰り広げられるコントなのだ。上手にやれば『駅前シリーズ』ほどにはおもしろくなる可能性を秘めているのだ。しかし、残念なことに役者さんがコントに向いてないんじゃないか、と思うのだ。森繁久彌、フランキー堺、伴淳三郎クラスの、コントが出来る役者さんを精一杯揃えんことには話にならないのだ、と思うのだ。強いて言えば、山田くんこと我修院達也にコント演技が期待できるのだが、出演場面はホンの少し。全面的に出してしまえば他の俳優さんが食われまくるとの配慮だろうか。残念だ。
とにかく、すべてのギャグがつるつると滑りまくっているように思えたのだ。ただ、浅忠(あさちゅう。浅野忠信はこう呼ばれているらしい)のうまさだけがキラリキラリと光って見えた。
「絶妙なユーモア」感覚の持ち主の、ナウなヤングにオススメだ。ベタ好き関西人にはオススメしません。
BABA Original: 2001-Jan-14;
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