Avalon
とっくに終わってまして、しかも随分前に見たので細かいところは忘れちゃいましたがレビューレビュー。押井守監督の前作『攻殻機動隊』は、たいへんな傑作で、「嗚呼、世界に誇る日本文化」と妙にナショナリスト的感慨を抱いたもので、今回 5 年の歳月をかけて完成した押井守の新作に期待しなかったといえばウソになる、といいつつ最悪の事態を常に予想して映画館に臨むをモットーとする私なので、期待してなかったといってもウソではない。
なんでもポーランドの俳優、戦車を使って日本国内では実現むつかしかろうな。大規模撮影を敢行。都市の石畳を戦車がズゴゴゴゴと疾駆する様は鳥肌モノだ、というのはウソで、なんだかなー感がプーンと漂ったのです。
なんとなればコンピュータ・グラフィックスを多用し全編セピア調ソフトフォーカスにて眠気を誘うことはなはだしくあれこれカッコいい画面なんですが、ああ、これが普通のカラー、いやモノクロでもいいんですが過剰な画像処理を施さなければ激カッコいい映像になったでしょうに、と思ったのです。
コンピュータグラフィックスが進歩してなんでもかんでも CG 処理してしまいがちな世の中ですが、その使用には細心の注意が必要なんでしょうね。いまどき CG 処理で凄いことやってもイメージに魂(ソウル)がなければ誰も驚かないのです。もちろん押井守監督はそんなこと百も承知でしょうが、『Avalon』の、「うーん、ちょっとこれは…」感は『スターウォーズ・エピソード 1』の激つまんなさに通じるものがあります。CG を使うなら「ペプシマン」のように作り手が CG を突き放して使うのがいいんでしょうね。CG を懐疑する態度、と言いますか。
さらに役者たち。日本人監督が外国人俳優を演出したモノを見たときについつい感じてしまう違和感があります。どこがどうとは言えませんが。思えば北野武『BROTHER』は外国人俳優のまたーりとした自然さにおいて画期的だったなあ。
おまけにお話。ゲームを中心とする世界観が、あのー、…よく知りませんが古くないですか? それともこういうのが最近流行なのでしょうか。
と、いうようなことはどうでもよくて、押井守にとってこの映画はアニメの方法論――映し出される映像を人間が完全にコントロールする――で撮るとどんな映画になるか? という実験なのです。だから、おもしろい/おもしろくなかったという評は的はずれなんですね。アニメと実写の違い、ということを考察すべきところですが、まだよく考えていないので、今日はこの辺で。いや、ホントにおもしろかったんですけどね。次作に期待。適当なレビューですいません、っていつものことでした。
BABA Original: 2001-Feb-25;
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