ロード・キラー
学生ポール・ウォーカー君(『ワイルド・スピード』主演のお兄ちゃん)は、片思いかつ幼なじみリリー・ソビエスキー嬢(『シャンヌのパリ、そしてアメリカ』の娘役)を拾ってコロラドの大学からネブラスカまで車で帰省しようと計画。むふふ。ところがボンクラ兄がおりましてな、コイツを同乗させるハメに。
この兄、勝手に CB 無線を買い込み、さっそく交信を行ったトラック野郎“ラスティ・ネイル”氏に悪戯を仕掛けます。弟に無理矢理、女性の声音で言わせて…
「はーい、私キャンディ・ケーンよ、今晩××モーテルの○○号室に来て〜。アタシの好物ピンク・シャンペーンを忘れずに!」
まあ、こんな悪戯に引っかかるのもどうかと思いますが、これがきっかけで兄弟+リリー嬢はキチガイトラック野郎に追いかけ回され…、というお話し。スピルバーグの出世作『激突!』を想起させます。『激突!』の場合トラック野郎の動機が謎に包まれていたのですが、この『ロードキラー』は、原因がハッキリしており、ここに、何だかよくわからないこの映画が製作された最大の動機がある。
すなわち CB 無線とはインターネットの「掲示板」「チャット」の比喩であり、兄弟が仕掛ける悪戯はいわゆる「ネカマ=ネット・オカマ」なんですね。『ロードキラー』の原案作成者は、かつてネカマにまんまとひっかかって股間をモッコリさせ笑い者になった経験があるのでしょう。「ネカマ野郎、許さん!」と断固たる決意をもってこの映画製作に乗り出したと思われます。兄弟は、粘着トラック野郎にとことん酷い目に合わされますが、結局は自業自得(ブローバック)。ネカマで人を小馬鹿にするとこういう痛い目に会いますよ、インターネットの匿名性を利用してアホなこと書いてるとしっぺ返しを食らいますよ、とアクチュアルかつ教訓的なメッセージがこめられているのでした。…ってどうでもいいですか。失礼しました。
監督は『ラウンダーズ』で「嫌過ぎるアホ友人」問題を描いたジョン・ドール。今回は「嫌過ぎるアホ兄貴」問題に着目。一連の『スクリーム』影響下のアホアホスプラッタ映画とは一線を画すなかなかに手堅い演出。ボケーッと楽しめてそれなりにハラハラもし、「いやいや、ネカマは許されざる行為だなー」との教訓もあるなかなかお得な作品、オススメ。知らん。
BABA Original: 2001-Dec-12;