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Movie Review 2000・10月14日(SAT.)

インビジブル

 大傑作『スターシップ・トルーパーズ』に続くポール・バーホーベン監督作品。CG を駆使して透明人間を映像化…って見えないものをどう映像化するんですか? ってのがセンスの見せ所。

 ケヴィン・ベーコン演じる天才科学者は、軍の依頼を受け、地下の秘密実験所で仲間と生物透明化の研究をおこなっている。実は透明化は成功しているんだけど、元に戻すのがどうもうまくいかない。天才的なヒラメキで、まずはゴリラの「可視化」に成功、さっそく人体実験だ! と、みずから透明人間になるのだが…。

 まず、素晴らしいのが、皮が消え、次に筋肉が消え…と、透明化のプロセスをじっくり見せるところだ。最近では、CG っつっても見なれてまして、「はあ、どうせ CG ですからね」とセンス・オブ・ワンダー、驚嘆の心持ちがなかなか持てないのだが、こればっかりはビックリ仰天。

 透明状態では、周りの人も不安なんで、と、昔なら顔面を包帯でおおうところだが、今回は、ゴムマスクをかぶる。目と口に穴が開いており、中身がポッカリ空洞、ってのも悪い冗談っぽく、間抜けでよろしい。

 透明状態のケヴィン・ベーコンは、もともとゴーマンなヤツなんだが、どんどんモラルをなくしていく。モラルというものは、他人に悪く思われたくない、とか、誰も見てないと思っていてもお天道様はお見通しだぜ、とか、常に他者の視線を前提としている。よって透明になった人間がモラルを無くしていくのは当然。ベーコンはアパートの向かいの美女の寝室に忍び込んだり、と愉快ないたずらにふける。

 透明な手が女性のパンティを引き下ろす描写があって、それがいかにも透明な手が存在するかのようで、この妙なこだわり方は、さすがというか、阿呆というか。いかにもバーホーベン! って感じですな。

 で、後半は地下の研究所に閉じこめられた男女が、透明ベーコンに次々殺され、いかに脱出するか、のサスペンスとなる。「さあゲームの始まりです。愚鈍な科学者諸君、これからは透明な存在であり続けるボクをつかまえてごらんなさい。」…ってなことは言ってないけれど、そういうことです。

 で、前半と後半で、主人公変わっとるやんけ! 前半は、ケヴィン・ベーコン、後半はベーコンの元彼女の同僚、エリザベス・シュー。作劇としては、もっと前半で彼女に共感をもたせる描写をしておかないと、クライマックスで「なんじゃ、この話は?」ってことになる。サスペンスとしては中途半端な出来。

 しかしながら、バランスを欠いても「見たいもの」を作る! ってのがバーホーベンのいいところで、たとえば『トータル・リコール』で、「なんでそこまでシュワちゃんの鼻の穴を広げんねん!」とツッコんだことを思い出そう。今回も、ツッコミポイント多数あり! なので強力にオススメ。

BABA Original: 2000-Jan-14;

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