キッド
「今のあなたは“あの頃なりたかった大人”ですか?」…ほっとけちゅうねん! って感じだが、ブルース・ウィリスは「イメージ・コンサルタント」を生業としている。
たとえば、売れない女性キャスターには、「髪の毛はもっと軽くした方がいい、爪が長すぎる、南部なまりを気にしているようだが、それを強調して売りにした方がいい」ってアドヴァイスをおこなう職業。
たとえば岐阜出身の自称 WEB デザイナーが、半年ほどでイカしたキャフェのお手伝いができるほどになることもあるから、見かけ上の、ほんの少しの工夫ってのは大事なんですね。そんなことはどうでもいいが、主人公はけっこうな豪邸に住み、ポルシェを乗り回している、とにかく一言多い「Jerk Off (ヤなヤツ)!」だ。
そんなブルース・ウィリスの前に、小太りの子どもが現れる。彼は、なんと子どもの頃の自分だった! びっくりしたなあ、もう。
なんか、最近、ブルース・ウィリスって「子ども」とどうこう、って映画が多いと思いませんか? 『シックス・センス』、その前にも『マーキュリー・ライジング』ってのがあったし。これは『ダイ・ハード』のイメージが固まりすぎて、『ハドソン・ホーク』とか、『スリー・リバース』、『薔薇の素顔』などダサダサの駄作を連発してたので「どうしょ? オレってもうダメかも?」と、「イメージ・コンサルタント」に相談を持ちかけ、「あんたは、子どもと共演するべきよ!」と言われたに違いない。違うか? 違うかも。
それはともかく、ブルースは子どもとアレコレ対話を続け、トラウマを克服して「子どもの頃なりたかった職業」をめざす決意をする。要は、「子どもの心を忘れるな」ってメッセージなんだが、そういうことなら、たとえば「イメージ・コンサルタント」のように、10 年前には子どもには及びもつかなかった職業の人はどうしたらいいの? WEB デザイナーとか。昔なりたかったパン屋をめざせというのか?
この映画は、「新しい」職業に対するアメリカ人の反感が生み出したものだろう。日本でも「IT 革命」とかの波に乗って成功している人たちを、ハタから見てムカついている方も多いでしょう。そういう方は、この映画を見て、「ふふん。あいつらは子どもの心を忘れてるんだぜ。」と自分を納得させてはいかがだろうか?
監督は『クール・ランニング』、『あなたが寝てる間に』と傑作を撮ったこともあるが『フェノミナン』(トラボルタ主演)でズッこけたジョン・タートルトーブ。今回はどう見ても「イメージ・コンサルタント」って役柄ではないブルース・ウィリスの好演に助けられて、ちょっとはマシなのでオススメだ。ブサイクな子どももいいぞ!
BABA Original: 2000-Jan-01;
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