Movie Review 2000・6月10日(SAT.)
ミッション・トゥ・マーズ」対談
- 管理人
- 久々の「対談」級の作品、ということで、話題の SF 超大作『ミッション・トゥー・マーズ』について、カフェ・オパール常連、映画雑談家ヤマネさんと、映画不リーク BABA さんに大いに語っていただきます。では、はりきってどうぞ!
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『ミッション・トゥ・マーズ』最高!
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- BABA
- kawakita さんには悪いけれど、『アルマゲドン』の方が 100 万倍はおもしろかったなあ。
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考え得る最高の配役!
- ヤマネ
- そうですよね。ティム・ロビンスとか、ゲーリー・シニーズとか、せっかく芸達者が出ているのにキャラが全然立ってない!
- BABA
- オープニングから全然ダメだもんなあ。宇宙飛行士たちが、もうすぐ火星行き、ってんでパーティやってて、そこで主たる登場人物が紹介されるんだけど、設定しただけだもんなあ。後で生きてこないもんなあ。パーティしてただけなんだなあ。その点、『アルマゲドン』はブルース・ウィリスがショットガンをブッ放す最初の 10 分でツカミはオッケーだもんなあ。
- ヤマネ
- 『アルマゲドン』は、スティーブ・ブシェミが出てるのもポイント高いですね! ブシェミが出たからみんなキャラが立った、というか。
- BABA
- ブシェミは顔だけでキャラが立つもんなあ。G ・シニーズも、そうなんだけど、自分に似合わない役をやっちゃあダメだなあ。
- ヤマネ
- 奥さんを亡くして、精神的に不安定とか言われてる、という設定で、神経質そうな顔なんだけど、最後までいちばん安定してるやんけ! 火星人が出てきたら、もっとビビるやろ!
- BABA
- G ・シニーズの邪悪な気性がいつ吹き出すのかなあ、とか期待してたのになあ。奥さんが最近死んだという設定は何だったのかなあ。
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巨匠ブライアン・デ・パルマの最高傑作!
- ヤマネ
- えーっと、簡単にストーリーを紹介すると、火星に行って、ラジコンで遊んでたら、竜巻に巻き込まれて、音信不通になったのを、T ・ロビンスとその奥さん、G ・シニーズたちが助けに行って、人面岩の中に入ったら火星人がいて、G ・シニーズは火星人の乗り物に乗せてもらった、という話です。しかし、なんでデ・パルマはこんな映画撮ったんですかね?
- BABA
- どうも、雇われ監督みたいだねえ。別にやりたい話でもないけど、儲かるからいいか、と。
- ヤマネ
- 『ミッション・インポシブル 2 』よりギャラが良かったんでしょうか? 超大作のギャラで稼いで、好きな映画を撮る、というパターンですね。
- BABA
- 今回は、地味な映画を監督したがってる友達の G ・シニーズと T ・ロビンスにも儲けさせたれ! って感じで、みんな儲けた、と。
- ヤマネ
- デ・パルマは『ミッション・インポシブル』とか『アンタッチャブル』とか、雇われ監督のときは、キッチリ手を抜くのがいいですね。
- BABA
- といって、『レイジング・ケイン』とか『スネーク・アイズ』もそんなにおもしろくなかったし。『ファントム・オブ・パラダイス』『キャリー』とか素晴らしかったのに。今野雄二が誉めすぎたからかなあ。
- ヤマネ
- デ・パルマだったら何でもいい、みたいな人が今でもいますけど。大作でも、やっぱり普通じゃない、みたいな。
- BABA
- 確かにどうでもいいシーンで妙にサスペンスを盛り上げる傾向があるなあ。『アンタッチャブル』の階段とか。
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感動のクライマックス!
- ヤマネ
- 今回でいえば、T ・ロビンス、G ・シニーズらの救出隊の宇宙船が爆発して、火星を回っている物資補給船にのり移るところのサスペンスが、しつこくて良かったですね!
- BABA
- 一生懸命、サスペンスを盛り上げてるんだけど、キャラが立ってないから遊んでるだけにしか見えないのが難点だな。
- ヤマネ
- こう、火星に向かって衛星軌道を描きながら T ・ロビンスが落下していくのを奥さんが助けに行くんだけど、「ジェット噴射の燃料が 50 %切ったから、先へ進めない!」とかで、あっさりストップしちゃう。さすが宇宙飛行士! 冷静!
- BABA
- で、T ・ロビンスは、奥さんが無理して共倒れになるのを防ぐために、自らヘルメットをはずして死んじゃうんだけど、ぴょーっと一瞬で凍っちゃうときの顔が笑えたなあ。
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NASA の最新技術の数々に目をみはる!
- ヤマネ
- しつこいくらい何度もアップになる NASA のマークも感動しましたね。
- BABA
- NASA は火星に有人飛行したいんだけど、予算がないんだよ。きっと。で、こういう映画に全面協力して世論を盛り上げようとしてるんだよ。きっと。
- ヤマネ
- それで、火星のベースキャンプに命からがら到着して最初に、アメリカ国旗を立てるんですね。他にやることあるやろ! アメリカ国民を喜ばせようとしているんですね。なるほど! NASA のマニュアルにあるんでしょうね。「不時着して基地に到着したら、国旗を立てる」とか。
- BABA
- しかし、たった独りで、1 年近く火星で暮らしたドン・チードルもたいしたものだなあ。
- ヤマネ
- ほんと、ドン・チードルすごいですよ! あんなペラペラのテントみたいな温室で大丈夫なんでしょうか? しかも頭が驚異的にいい。火星の人面岩が音を出してて、どうもそれが「遺伝子」の配列を表しているらしい、と気付くなんて、絶対普通じゃない!
- BABA
- 独りでショボそうなコンピュータ使って解析しちゃうんだもんなあ。宇宙飛行士って頭いいんだなあ。
- ヤマネ
- 向井千秋さんだったら絶対わかりませんね。
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今、明かされる人類誕生の謎!
- BABA
- で、暗号を解いて人面岩の中に入っていく。そしたら、CG っぽい火星人が出てきて、泣いたりなんかして。
- ヤマネ
- 火星は緑の星だったのが、隕石が落ちてきて、火星人はみんな逃げ出したんだけど、なぜか一隻だけ残って、地球に遺伝子をばらまくんですよね。それがどんどん進化して、魚になって、恐竜になって、マンモスになって…。
- BABA
- 突然、原始人がわいてきて、マンモスを追っかけてるのが不思議だったなあ。てっきり、人間に進化して、人類の起源は火星人だったんだよ、ってオチかと思ったんだけど、そうじゃないみたい。
- ヤマネ
- あれはアメリカ向けの配慮ですよ! 進化論を教えたらダメな州とかあるからでしょ。
- BABA
- お。なるほど。人間は神様が自分に似せて作ったんだから、火星人とか猿とかから進化した、なんていうのはもっての外なんだな。…そんな非科学的なところに気をつかっちゃう SF ってのもスゴイなあ。画期的だなあ。
- ヤマネ
- ほんと、SF としては最高ですよ! 『2001 年宇宙の旅』そのまんまですからね。
- BABA
- 『コンタクト』とか見習ってほしいなあ。
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西暦 2020 年――。人類は火星に裁かれる!
- ヤマネ
- というか、『アルマゲドン』を見習ってほしいですね。ボクは。でも『2001 年』みたく、謎だらけです。そもそもなぜ、地球へ帰還する脱出船の出発にタイムリミットがあるのか、わかりませんでしたね。若造が独りだけ人面岩に行かずに、基地で留守番するんだけど、どうして 19 時 50 分に出発しないといけないんですか? 「19 時 50 分になったら、オレ達を待たずに出発しろ!」とか言われておきながら、ちゃんと待ってるし。
- BABA
- あそこは、留守番の若造が、「なぜ、19 時 50 分に出発なんですか!?」と聞いて、G ・シニーズが「プロデューサーが最後に手に汗握らせろと言ったからだよ!」とか答えるシーンがカットされたんじゃない? で、謎といえば、火星人は一体何がしたかったわけ? 自分の遺伝子の配列を知っている知性が現れるのをずっと待ってたわけ? 何のために?
- ヤマネ
- あの火星人は、遊園地の乗り物の番人みたいなもんなんですよ。身長 110 センチ以上ないとジェットコースターに乗せてもらえないのと同じ。遺伝子の配列くらい知ってないと宇宙船に乗せてあげないよ、っていう。「人類は火星に裁かれる」! で、G ・シニーズはそのうち帰ってくるんですよ。「あー、おもしろかった! もう一回乗ろ!」とか言って。続編は、地球に帰ってきた G ・シニーズの回想で始まるんですよ。
- BABA
- 続編作るのかなあ。
- ヤマネ
- 最初から続編作るつもりじゃなかったら、こんな中途半端な映画作らないでしょ! もう三部作まで構想ができてるはずですよ。
- BABA
- それは楽しみだなあ。どうでも良くなってきたなあ。
- ヤマネ
- 続編の監督はもちろんジョン・ウーですね!
- 管理人
- ……。なんとなくオチがついたみたいなので、この辺で終わりましょうか? 最後にひとこと。
- ヤマネ
- 『ミッション・トゥー・マーズ』最高!
- BABA
- はいはい。最高。
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