Book Review 2000・4月25日(TUE.)
バトル・ロワイアル
高見広春著
この作品の「おもしろさ」は、巻末の出版に至った経緯を読めば伝わるだろう。
某社のミステリー小説賞に応募したところ、一次予選さえ通過しなかった、…(中略)…某社のホラー大賞に再度応募したところ、最終候補までは残ったものの、選考委員から「非常に不愉快」「嫌な感じ」「賞のためには(入選させることは)絶対にマイナス」等々、…(中略)…きわめて内容が反社会的であるとのレッテルと共に、全面的に批判を浴びせられ、再度、落選。…(以下略)。
しかし、あまりの「おもしろさ」のため、原稿のコピーが地下を駆けめぐって話題になった後、ようやっと太田出版から出された、という経緯をたどる。
中学三年、「修学旅行」の数日間を克明にたどる、というお話でジャンルで言えば、出来のいい「ジュブナイル小説」。中学生どもは寄ると触ると、誰が誰を好きで、とか、やっぱりロックは反体制だよな、ブルース・スプリングスティーン最高! とか、痛さあふれる話も多いのだが、クラス一人ひとりの心理をどうでもいいことまで含めてじっくり描いて、妙なサスペンスを高めておいて…、というところは、ちょっとスティーブン・キング風で、とても楽しく読める。
ぜひ、あらすじなどの予備知識なしに読んでいただきたい。よって書くことがあまりない。深作欣二監督で映画化の企画が進行しているらしい。これはメチャクチャ期待できるかも? 出演オッケーするかどうかはあるけど、武田鉄矢で行くかどうかが思案のしどころですな。
BABA Original: 2000-Apr-25;
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