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Text by 小川顕太郎
2006年06月18日(Sun)

非国民と呼ばれて
憂国

 akira28000来店。私同様サッカーに何の関心もないakira28000は、みんながワールドカップで騒いでゐる間にも、やれ歌舞伎だ、やれお茶だ、やれ神社巡りだと、そんな事に血道をあげてゐたら、ある日友人のひとりに「ワールドカップで日本を応援しないなんて、この非国民め!」と言はれ、釈然としない気持ちになつた、といふ。

「なんか変ぢやないですか」と、akira28000。

 そりゃ変だよ。そんなの、毛唐の玉遊びに熱中してゐる奴が何を言ふか! と、言ひ返してやれば良かつたのに。

 さういへばナオミ・キャンベル(イギリス人)が、ワールドカップでイギリスを応援せずにブラジルかどこかを応援した、といふ事で、イギリスではナオミのバッシングが起こつてゐる、といふニュースを聞いたけど、どこでも愚かさは大手を振つて歩いてゐるもんだ。そもそもシオランを持ち出すまでもなく、祖国とは国語のことなんだから、古典のひとつも読んだことがなく、いい加減な言葉使ひの連中が、スポーツなんかにかこつけて愛国者を気取つたり、他人を非国民呼ばはりしたりするのはをかしい。かういつた似非愛国者によつて、真の愛国者が弾圧される事態を、「ファシズム」「全体主義」と呼ぶ。大体、テレビといふ国民文化破壊装置を通してスポーツをみて、それによつて引き起こされた感情を愛国心に結びつけるのは滑稽の極みとしか言ひやうがない。な、オシシン。

「ああー、日本が負けて悔しいー!! 今日は勝てよー!」

 …全然、昨日と変はつてないな、オイシン。

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