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Text by 小川顕太郎
2006年04月25日(Tue)

トム・ヤム・クン!
映画

 TOHOシネマズ二条にて『トム・ヤム・クン!』を観る。あの『マッハ!!!!!!』軍団による新作。多分、今年一番楽しみにしてゐた映画である。そして、その期待は裏切られなかつた。ドッカーン!

 今回、トニー・ジャーは象使ひの青年カームの役。それも単なる象使ひではなく、象に乗つた王様を守る最強のムエタイ兵士「チャトゥラバート」の末裔、といふ設定である。そんな彼が大事に育ててゐた象が、国際密輸組織によつて盗まれる。象を取り戻すために、彼はオーストラリアに飛んだ。単身でチャイニーズマフィアに立ち向かふカーム(トニー・ジャー)。壮絶な、今まで誰もみたことがないやうな闘ひの幕が切つて落とされる…。

 前作では、仏像を粗末に扱ふ奴は許さん! といふメッセージがドクドクと横溢してゐたが、今回は、象を蔑ろにする奴は許さん!!! といふメッセージがビンビンに伝はつてくる。確かに、象がムチャクチャ可愛くて、こんな象を虐める奴は許せん! といふ気持ちに、観てゐるこちらもなる。私は、動物愛護団体とかは胡散臭くて虫が好かないのだが、それはやはり彼らは“動物愛護”といふ理念が先走りしてゐて、その理念によつて現実を斬らうとする傾向があるからだらう。それに対して、カームはあくまで自分の愛し育てた象を取り戻すために、守るために闘ふ。だからこそ、その勇姿は圧倒的な感動を呼ぶし、その事が、結果として動物愛護精神(動物を粗末に扱ふことに反対する精神)を呼び起こしたりするのだと思ふ。これは前作とも共通することだが、これらの映画には強烈な愛国心が詰まつてゐる。タイの文化(仏教や象)を愛する心と、それを壊さうとするものに対する憎しみ。これが結果として、“世界平和”のやうな抽象的な理念に、仏教の慈悲の精神や象などを大事にする精神を通して、繋がるのである。まづは自国の文化に対する敬虔な気持ちを持つこと、そこから闘ひは始まる。ババーン!

 さて、肝心のアクションに関してだが…、これは、観て貰ふしかない。とにかく、やはり、凄い! 確かにストーリー(脚本)や演出は前作に較べるとあまりに雑であり、首を捻らざるを得ないのだが、アクションがやはり凄くて、この欠点を補つてあまりある。まづ、観て下さい! そして、家に帰つたら和歌を詠み、腕立て伏せと腹筋をしませう。

公式サイト:
http://www.hov.jp/

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