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Text by 小川顕太郎
2006年03月06日(Mon)

個人的発見
読書・文学

 POWERくん来店。「この間、個人的な大発見をしたんですよ!」と興奮気味に言ふ。

 ほう、それは、何?

「いやー、あんまり個人的なことなんで、他の人には面白くないと思ふんですけど」

 いいからさ、何?

「実はですね…、なんと! 桐野夏生は女性だつたんです!!!」

 ああ、男性だと思つてゐたのか。ま、名前だけからは、分かりづらいよな。

「でせう! だつて、『OUT』を男性が書いたと思つて読むのと、女性が書いたと思つて読むのとでは、大違ひですよ」

 確かに。ぢや、POWERくんは貴重な体験をした訳だ。…でも、考へてみれば、宮部みゆきの作品の世界観の緩さについて語つてゐて、それと対局なタイト・ハードな世界観の持ち主の女性作家、といふ事で桐野夏生を薦めたと思ふんだけど。

「さうでしたッけ?」

「桐野さん、メディアに露出しまくッてゐるぢやない」と、可能涼介が口を出した。

「さういへば、先日、テレビで宮部みゆき原作の映画『模倣犯』がやつてゐたんだけど観た?」

いいや。

「その中でさァ、出てゐる奴のひとりが、清原のモノマネをするんだよ。…一寸、やつてみせようか」

 と、言つて、可能は席から立ち上がり、清原がデッドボールを受けた時の物真似をやり始めた。私とPOWERくんはそれを鑑賞。

「…いやー、いいよ、清原。オレ、清原のファンだから。」

「それはさうと…、ボクは『模倣犯』は文庫で読んだんですが、長すぎ! 全6巻。義務感で読み終へましたが、読後に虚しさと怒りが残りました」

「え! 文庫で6巻もあるの。ハハハ、それは暴悪だわ」

「あと、先日、映画で『ナルニア国物語』を観たんですが、これがまた最悪! ここまで酷い映画は、久々に観ました。これも実は先が長いんですよねー。先のことを考へると、暗くなります。ま、もう観ないですけど」

 はは、『ナルニア国物語』は子どもの時に面白く読んだ記憶があるけどね。ま、映画はまた別だから。

 関係ないけれど、POWERくんに『火車』を進呈しました。

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