個人的発見
[読書・文学]
POWERくん来店。「この間、個人的な大発見をしたんですよ!」と興奮気味に言ふ。
ほう、それは、何?
「いやー、あんまり個人的なことなんで、他の人には面白くないと思ふんですけど」
いいからさ、何?
「実はですね…、なんと! 桐野夏生は女性だつたんです!!!」
ああ、男性だと思つてゐたのか。ま、名前だけからは、分かりづらいよな。
「でせう! だつて、『OUT』を男性が書いたと思つて読むのと、女性が書いたと思つて読むのとでは、大違ひですよ」
確かに。ぢや、POWERくんは貴重な体験をした訳だ。…でも、考へてみれば、宮部みゆきの作品の世界観の緩さについて語つてゐて、それと対局なタイト・ハードな世界観の持ち主の女性作家、といふ事で桐野夏生を薦めたと思ふんだけど。
「さうでしたッけ?」
「桐野さん、メディアに露出しまくッてゐるぢやない」と、可能涼介が口を出した。
「さういへば、先日、テレビで宮部みゆき原作の映画『模倣犯』がやつてゐたんだけど観た?」
いいや。「その中でさァ、出てゐる奴のひとりが、清原のモノマネをするんだよ。…一寸、やつてみせようか」
と、言つて、可能は席から立ち上がり、清原がデッドボールを受けた時の物真似をやり始めた。私とPOWERくんはそれを鑑賞。
「…いやー、いいよ、清原。オレ、清原のファンだから。」
「それはさうと…、ボクは『模倣犯』は文庫で読んだんですが、長すぎ! 全6巻。義務感で読み終へましたが、読後に虚しさと怒りが残りました」
「え! 文庫で6巻もあるの。ハハハ、それは暴悪だわ」
「あと、先日、映画で『ナルニア国物語』を観たんですが、これがまた最悪! ここまで酷い映画は、久々に観ました。これも実は先が長いんですよねー。先のことを考へると、暗くなります。ま、もう観ないですけど」
はは、『ナルニア国物語』は子どもの時に面白く読んだ記憶があるけどね。ま、映画はまた別だから。
関係ないけれど、POWERくんに『火車』を進呈しました。
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