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Text by 小川顕太郎
2006年01月13日(Fri)

夢のチョコレート工場
映画

 DVDで『夢のチョコレート工場』を観る。1971年、メル・ステュアート監督映画。あのティム・バートン監督『チャーリーとチョコレート工場』の原作であるロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』を、映画化したもの。ま、『チャリチョコ』の先輩映画ですな。この映画を幼い時に観た、といふ人が周りには結構ゐて、それらの人の感想を聞くと、「面白かつた、でも、恐かつた!」といふもの。確かに、面白い、しかし恐い! 映画であつた。

 何が恐いと言つて、ウンパルンパですよ、ウンパルンパ! この映画では小人の方々がメイクをしてウンパルンパを演じてをられるのですが、このメイクがまた! 顔全体をオレンジ色に塗り、眉毛は白、髪の毛は緑色に染めて結ひ上げてゐるのである。こ、こはい! このメイクで、「ウンパ、ルンパ、デュパディンデュ」とか唄つて踊られると、悪夢のやうだ。また、ジーン・ワイルダー演じるウィリー・ウォンカが、単なる意地悪なをじさん、と見えなくもなく、これは子どもの時に観たらトラウマになるだらうなー、といふ感じ。

 チョコレート工場の内部も、なかなかキッチュで面白いのだが、『チャリチョコ』を観た後で見ると、激しく見劣りするのも事実。『キング・コング』のやうに、同時代の他の映画を圧倒するリメイクを作られても、猶それに拮抗するほどの強度を持ち得てゐる映画もあるが、この『夢のチョコレート工場』はさうではなかつたやうだ。映像、音楽、人物造形、ストーリー、(ウンパルンパの)ダンス、どれをとつても『チャリチョコ』が遙かに凌駕してゐる。さすがティム・バートン、と感心せざるを得ない。が、だからと言つて、この『夢のチョコレート工場』には一見の価値もないかといふと、そんな事はなくて、キッチュで素朴な味はいには捨てがたいものがある。だから、『チャリチョコ』が煩さ過ぎた人にはよいのではないでせうか。ティム・バートンも、映画のオープニングで明らかにこの『夢のチョコレート工場』にオマージュを捧げてゐます。

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Comments

投稿者 sheknows : 2006年02月26日 15:04

時折拝読しているのですが、初めてお邪魔します。

仰る通り、このフィルムのウンパ・ルンパ、非常にインパクトが強い、強すぎて今でも脳裏にクッキリなのです。怖いですもんね〜。
ジーン・ワイルダーの底意地の悪そうなワンカさんも、怖いのです。
が、なんというか底知れぬ雰囲気を味わうという点でこのフィルム、面白いですね。

投稿者 店主 : 2006年02月26日 17:38

sheknowsさん こんにちわ!
さうなのです。私はティム・バートン版のウンパルンパの方が、歌も踊りも遙かに素晴らしかつたと考へてゐるのですが、それでも何故か!“ウンパルンパ”と聞けば頭の中に流れてくるのは、「ウンパ、ルンパ、デユパデインデユ」といふこちらの歌なのです・・・。
恐ろしや。

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