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Text by 小川顕太郎
2005年12月10日(Sat)

『SAYURI』について
映画

 ババさん来店。スピルバーグ総指揮で作られた話題のハリウッド製ゲイシャ映画『SAYURI』を観てきたといふ。どうでしたか?

「とんでもない映画でしたよ!」

 やはり、予想通りでしたか。…酷かつた、と。

「いや、……とんでもない! と言つた感じです」

 なるほど。一寸パンフレットを見せて下さい。…わ! 凄い、これ。何ですか、この格好は?

「ははは、なんだかいま流行りのモダン着物みたいでせう」

 それより酷いでせう。なんとも見苦しい着物ですねェ。て、いふか、着付けが無茶苦茶なんぢやないですか? 誰ですか、衣装は。

「なんか、外国の人でしたよ。確か、セクシーさを強調するために、身体の線が出るやうアレンジした、とかどこかで語つてゐたやうな」

 ム、ムチャですねー。着物は“身体の線を隠す”といふ美意識に基づいたものぢやないですか。理解できないなら手を出さなければいいのに。なんとも傲慢な感じ、さすがハリウッドですねェ。

「さうなんですよ。もう、話とか設定とか、ムチャクチャなんですよ。常識的に考へてありえないこと満載で。都をどりを夜にやつてゐたりとか。祇園の世界の基本的な事柄をちつとも分かつてゐない。」

 でも、この原作者のアメリカ人は、日本に住んだ事もあつて、この本を書くのに本物の芸者さんに協力して貰つた、といふ話ぢやないですか。

「うーん、原作を読んでゐないので分からないですけど、映画は原作をかなり変へてゐるのかなァ。…とにかく、どこの国やねん、といふぐらゐ、ムチャクチャでした」

 そもそも、主演の3人が中国人で、みんなが英語を喋つてゐる、といふ時点でトホホですよね。

「ロブ・マーシャル監督によると、ハリウッドでは伝統的に人種の厳密性には拘らず、“適切”な役者を起用する、といふ事らしいですよ。しらんけど」

 基礎的な知識もなく、美意識に対する理解もなくて、どうやつて“適切”な役者を選ぶんですか! 

「ま、知名度、とか。売れさう、とか。さういふものでせうけど。…とにかく、観に行つてくださいよ、是非!!!」

 あー、やはりさうくるんですねー! …どうしよう。

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