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Text by 小川顕太郎
2005年11月27日(Sun)

コータローくん誕生日
etc

 0時を過ぎ、27日になつた。しばらくして、誰が言ふともなく、今日はコータローくんの誕生日ぢやないか? といふ話になつたので、たまたまその場にゐたコータローくんに尋ねてみた。

「はい、さうですよ。今日で3*歳になりました」

「わー! おめでたうー!」

 パチパチパチ! 沸き起こる拍手に、コータローくんは手を振つて応へた。

「いやー、にしても、早く40になりたいね。不惑の歳。惑はないやうになりたいわ」

「50は何でしたッけ?」

 天命を知る、だよ。

「うわー! 知りてー、天命知りてー。たとへどんなに下らない事であつても、天命知りてー!」

「ぢや、60は?」

 60で耳順ひ、70で矩こえず、だな。

「それ以上はないのかな?」

「米寿があるよ、88歳」

「いや、それは論語とは関係ないだらう」

「ぢや、トモコさんの米寿に、みんなで集まつて同窓会をしよう!」

「うん、いいね。それなら、テラリーが幹事だな。まづ、みんなを探す所から始めることになると思ふけど」

「え! ボクですか…。別に構はないですけど、みんな覚えてゐてくれるかなー」

 大丈夫! テラリーの場合、いざとなつたらボーリングのピンを被れば、みんな分かるから。

「ああ、重さうだなー、年寄りになつてからあれを被るのは」

「そんなん、テラリーの孫に被らせたらいいやん。顔とか、今のテラリーにソックリなの」

「あー、なんかヨボヨボの爺さんとボーリングのピンが来たけど、何やー。と、思つてボーリングのピンの方の顔を見ると、ああ! テ、テラリー!!!」

「絶対に分かるね。あの、得意のポーズも教へておけよ。…さうだ! 呆けた時のために、あらかじめ色々用意しておけばいいんだ。手紙とかに指示を書いておいて、**年になつたら孫の所に届くやうにしておく。さうすれば、たとへテラリーが呆けても大丈夫。」

「手紙の指示通りに裏庭を掘り返すと、そこからは巨大なボーリングのピンの被り物と、オパール8周年の集合写真が…」

「うーん、その使命を果たした直後に、ボクは逝つてしまひさうですねー」

 それでいいんだ。それが、テラリーの天命だつたんだよ。

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