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Text by 小川顕太郎
2005年11月24日(Thu)

近代藝術家之書
アート

 何必館にて「近代藝術家之書」展を観る。これはいはゆる書家の手になる書作品ではなく、芸術家(詩人、画家、陶芸家…etc)たちによる書作品。書といふのは不思議なもので、書家以外の人によつて成つた作品の方が、書家の作品より良かつたりする場合が往々にしてある。書の世界でも非常に評価の高い良寛の有名な言葉に「貧道の嗜まざる所三有り、曰く詩人の詩、書家の書、庖人の餞、是也」といふのがあるけれども、ま、さういふ事です。詩人が書いた如何にもな詩とか、書家の書いた如何にもな書とか、料理人の作つた如何にもな料理とかは、私はあんまり好きませんなー、てな感じで、実はこの言葉は私の座右の銘でもあるのであつた。なんにせよ、専門家には専門家の臭みがあるものである。そして、世の中にはこの“専門家の臭み”に敏感な人たち、といふのがゐるのであつた。

 んで、そんな私ゆゑ、この展覧会はバッチリ楽しめた。特に良かつたのが、中川一政と川端康成。あと、平櫛田中と熊谷守一かなァ。須田剋太はいいんだけれど、“書”といふよりはやはり“絵”といふ感じ。村上華岳もいいんだけれど、なんか上手すぎる感じ。加藤唐九郎はいいんだか悪いんだかよく分からない。で、魯山人は、やつぱりちつとも良さが分からないのでした。ははは、う〜ん、何でだろ。

 私自身、篆刻をやつてゐるけれども、別に篆刻家になる気はなく、ディレッタンティズムを守らうと考へてゐるので、かういつた書には大いに勇気づけられます。精神が大きく解放される感じ。

 てな訳で、この展覧会は12月25日までやつてゐるので、機会のある人には是非オススメです。ちなみに入館料は一般1000円です。

Comments

投稿者 R_ : 2005年11月29日 12:18

はじめまして。
リアルオパールとともにここの日記も楽しみに読んでおります。

確かに画家の書く書というのは描く書という印象を受けますよね。
大学時代、私の担当の教授が
個人的に画家の書く手紙を収集しておりました。
収集の目的はまさに小川氏と同じ趣旨だったようなー。

村上華岳のものもありましたが、
確かに絵のように見える美しさでしたw。

何必館、ぜひとも行ってみたいです。
上のこじんまりしたスペースがいいですね。

またおもしろ話、楽しみにしております。

投稿者 店主 : 2005年11月29日 19:49

Rさん こんにちは

私の篆刻の師である小朴圃先生も、画家や文人の手紙を収集してをります。たまに見せて貰ふのですが、いや、素晴らしいものが多いですね。特に画家の人のものは、チャラチャラッと簡単な絵が添へてあつたりして、おお!カッコエー!と思つてしまひます。ただ、何が書いてあるのか読めないのが難点ですが・・・。
何必館、是非行つてみて下さい。で、帰りにオパールにでもお立ち寄り下さい。一寸遠いけれど。ではー。

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