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 Diary 2005年5月29日(Sun.)

優勝者は?

 私が店に行くと、すでにカズ16 VS テラリーの闘ひは終つてゐた。結果は、テラリーの勝ち。道理で、ユキエさんの機嫌が悪い訳だ。トモコも不服気である。しかし、まァ、さうなつてしまつたモノは仕方がない。これで、とうとう決勝戦のメンバーが決定した訳だ。決勝戦は、テラリー VS マツヤマさん!

「よし! ぢや、やらうか」と、その場にゐたマツヤマさんは言つた。え? そんな、いきなり決勝戦ですか? …別に構はないですけれど、かなり酔つてゐるみたいですが、大丈夫なんですかマツヤマさん?

「大丈夫、大丈夫。ボクはテラリーなんかには負けないから」

 と、こちらの心の準備もできてゐないうちに、決勝戦は始まつた。

 エグい攻めである。今回のマツヤマさんは、どんどん上から抜いていく。執拗に上から抜いていく。おかげで、たちまち上部3分の1が1本づつのスカスカとなり、どこかを抜かうとするたびに、上部がユラユラと揺れるやうになつてしまつた。テラリーは真剣そのもので塔に対峙する。対してマツヤマさんは終始軽口を叩きながら、余裕を見せつけてゐる。確かに、マツヤマさんには、まだ公開してゐない秘技がある、との噂があるくらゐだから…。

「ハハハハハ、テラリーは純情くんだなー、まつたく」

 マツヤマさんは笑ひながら、塔に近づいた。と、その時、マツヤマさんの無造作にあげられた手が塔に触れ、みんなが息を飲む暇もなく、塔は崩れ去つてしまつた!

「あ……」

「………」

「………」

「………や、やつたー!!!」

 小躍りするテラリー。優勝候補のマツヤマさん破れる! 第1回オパールジェンガ大会の優勝者はテラリーに決定した。おめでたう! テラリー! …の、声もなく、周りの人々は沈み込んでゐる。

「うーん、なんだか呆気なさすぎるよなァ。決勝戦に相応しくない、といふか」と、

 ババさん。

「もう、今日の試合のチケット高かつたんですよ! それでこれかい! プンプン!」と、ヤマネくん。

「やつぱりー、いつも巫山戯てばかりゐるからー」と、サコさん。

「マ・ツ・ヤ・マ・さ・ん……」と、トモコとユキエさんは、ジーッとマツヤマさんを見つめる。

「いや、なんか、その、試合が終つた途端にもの凄い緊張感が襲つてきた。…申し訳ない…」と、小さくなるマツヤマさん。

 とにかく、やはり勝負は真剣な方が勝つ、といふ事ですか。では、誰一人言はなかつたので、ここで私が言つておきませう。テラリー、優勝おめでたう。

小川顕太郎 Original: 2005-Jun-2;