その人の持つ完全さ
先日ラウンドワンにてボーリング大会を行つた時に、ラウンドワンの人が記念撮影をしてくれたのだが、その写真が送られてきた。実は当日にも数枚貰つてゐたのだが、今回のは大きく引き伸ばしたやつである。昨今なら携帯電話のカメラでももう一寸マシだぞ、と驚くほど粗い画像なのだが、それでもなかなかに興味深い。イナヤマさんとベッチの笑顔が素敵すぎる！ とか、カズ16が無表情すぎる！ とか、トモコの後ろに立つてゐるはずのウメドンの顔がでかすぎて遠近感が著しく狂つてゐる！ とか、ユキエさんの頭から角が生えてゐる！ とか。しかし、そんな事より何より、特筆すべきは、ボーリングのピンの着ぐるみを被つたテラリーである。あまりにも似合つてゐる！ 私は嘗てこれほどボーリングのピンの着ぐるみが似合つてゐる人間を見た事がない。これは私ひとりの独断ではない。この写真を見た全ての人が、その完璧さに驚嘆の声をあげてゐる。恐ろしい程の似合ひ具合だな、テラリー。
「ちつとも嬉しくありません」
この写真を見た後で、実物のテラリーを見ると、何かが欠けてゐるやうな気がするぞ。
「ボクは充分これで揃つてゐます！ 何も欠けてゐません」
でも、なにかバランスが悪いやうな気がするのは否めないな。
「別にバランスは悪くありません！ の、つもりです。」
しかしこの写真のテラリーのフォルムの美しさ、神々しさ、みたいなものは、感じられないんだがなぁ。
「いや、ボクは今のままで充分美しい…とは言ひませんが…」
な、さうだらう？ あのな、テラリー、人にはそれぞれ完全な姿といふのがあるんだ。それがどんなものか、といふのはなかなか分からなくて、結局みんな流行の格好をしたり、流行りの顔や身体に自分を合はせやうとするんだけれど、それでは一握りの人間しか完全な姿になれない。これは不幸な事だ。自分に合つてゐない姿を追ひ求めてゐるんだから。その点、テラリーは奇しくも自分の完全な姿を見つけてしまつた！ それはボーリングのピンだつたんだ！ これはとても幸せな事ぢやないか。喜ばなきゃ、テラリー！
「…なんか、ボク以外の人たちはみんな喜んでゐるんですけど」
それはテラリーを祝福してゐるんだよ。おめでたうテラリー！
「……」
ところで本日もジェンガの試合が行はれた。ウメドン VS カズ16。これはカズ16の勝ち。…にしても、カズ16無表情過ぎる！ 試合中はともかく、勝つた後ぐらゐ、もう一寸嬉しさうにしたらどうだらう？
ま、とにかく、明日はカズ16 VS テラリーの闘ひです。
小川顕太郎 Original: 2005-Jun-1;