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 Diary 2005年2月22日(Tue.)

タカハシくんの休暇

 タカハシくん来店。「今頃、店では仕込みをやつてゐるんでせうねー」と、辞めたばかりの職場に想ひを馳せる。とはいへ、来月の20日には東京の新たな職場へと行かなければならないので、それまで僅か約一月。この一月を有意義に使おう、と、タカハシくんは決めてゐるさうだ。しかし、多分、「有意義」といふ言葉の意味は分かつてゐないと思ふが。とにかく、昨日は『JUON』を観に行き、夜は悪夢に魘され、今日は『パッチギ!』を観に行つて、生まれて初めて映画を観て泣く、といふ体験をしたさうだ。日頃、ボクは映画を観ても泣くことができない感情のない人間なんです、と、訳の分からないコンプレックスを抱いてゐるタカハシくんなので、初体験を済ませてホッと一安心、といつた所だらうか。

 さらに家ではビデオで『ローマの休日』を観て、生まれて初めての海外旅行、イタリアへの準備をし、『さらば青春の光』『ナック』を観て、ウラハラ卒業後の自分のファッションの方向性を探り、やつと見つけた(?)自分の好きな作家として、宮部みゆきの著作を読みふけつてゐるさうだ。もちろん、京都にやつて来てから今まで、仕事しかしてゐなかつたので、京都を離れる前に神社仏閣名所旧跡を巡つてみたいと意気込んでゐるし、今まで働いてゐた店の定休日が月曜日だつたので、同じく月曜日が定休日なので縁がなかつた美術館・博物館にも行つてみたい、といふ。まづは京都市美術館でやつてゐる「フィレンツェ展」に行くさうである。

 そして! 忘れてならないのは、「演歌サバイバーズ」への参加である。

「えー! マジッすか! 無理ですよー、人前で演歌を歌ふなんて、絶対に無理!!」

 何を言つてゐるんだ! 演サバの事を、単なる大勢の前で演歌を歌ふカラオケ大会だと思つてゐるんぢやないだらうな。確かに、一見その通りである。が、これは猛攻してくるグローバリズムの波に対して、日本の魂(こころ)を守らう、無形の民族固有遺産を歌ひ継がう、といふ催しなのだ。これを通過せずして、京都にゐた、オパールの人たちと付き合ひがあつた、とは東京で言はせないぞ。

「でも、演歌とか、知らないんですよ」

 知らなければ、知る努力をすればいい。積極的に自分から動くことなくして、何も自分のものにはならない。

「あー、ぢやー、頑張ります!」

 よし! その意気だ!

 てな訳で、タカハシくんの人生の休暇は始まつたのでした。

小川顕太郎 Original: 2005-Feb-26;