ダメやね
ハッシー来店。あれ? 今日はカズ16に英語を教へて貰ふ日ぢや…
「チョット用事ができたんで、止めました。カズくんに断りの電話を入れたんですが、『もう、ダメやね』と言はれましたが」
うん、確かに、もうダメやね、ハッシー、そんなんぢやあ。
「いや、大丈夫ですよ。言はれなくなつたらお終ひですけど、『ダメ!』とか言はれてゐるうちは、まだ大丈夫なんです」
それは、ダメでも大丈夫、カズ16に見捨てられババさんに無視されYO!ちやんに振られても大丈夫、といふ意味か?
「違ひますよ! みんなボクを見捨てない、といふ意味です。ボクはみんなを信じてゐますから」
それなら「もうダメやね」といふ言葉も信じろよ。みんな心の底から「ダメだな」と思つてゐるんだから。
「またまたー、ちやんと約束を守つて、この間は映画を一人で観たぢやないですか。約束を守るのはイイことですよね!」
うむ、確かに、約束を守るのはイイことだ。反対に約束を破るのは最低。故に、ちやんと英語をやるといふカズ16との約束を破つてゐるハッシーは最低だな。
「えー、勘弁して下さいよー」
いや、これはカズ16とハッシーの間の問題だから、私は関係ないよ。でも、一言警告しておくと、カズ16が怒ると恐いよ。
「え! カズくん、怒ると恐いんですか!」
うん、カズ16を怒らすと……
「ど、どうなるんですか?」
まづ、笑顔が消えて無表情・無口になる。
「いつもと同じぢやないですか」
うむ、ま、さうだな。が、次にその無口なまま、続々と手品を繰り出すんだ!
「ええ!!」
怒つて席を立ち、そのままトイレに消えたかと思ふと、非常口から現れたりする。
「こ、恐い!」
みんなが思つてゐる事を次々当てたりする。
「え? みんな何て思つてゐるんですか?」
ハッシーはダメやなー、て。
「うわー、勘弁して下さいー!」
このやうに散々ハッシーを虐めてゐたら、ハッシーは次の約束にも遅れていつた。たぶん、そこでも「ダメな奴やなー」と思はれてゐるだらう。
小川顕太郎 Original: 2005-Feb-12;