カイロ/闘ひ
POWERくん来店。仕事帰りである。「いやー、最近カイロを使つてゐるんですけどね、ワイシャツの上からペタッと貼つて。これがイイんです! 昔はカイロなんて効くんかいな? と疑問に思つて、どちらかといふとバカにしてゐたんですが、いやこれがまた素晴らしい! カイロ最高です」
ふーん、で、なにが切つ掛けで、そのバカにしてゐたカイロを使ふやうになつたの?
「それは、ボクの奥さんが使つてゐたからです! いやー、異文化交流ッて素晴らしい!」
なるほど。ところでPOWERくん風邪ッぽいね。
「さうなんです。風邪をひきまして。でも、学校なんかの時は風邪をひいたら即休み、といふ感じでしたが、仕事となれば休まないでも何とかなるもんですね。」
さう? ッていふか、別に学校時代も、私は風邪だからといつて休んだりしなかつたけど。その代はり、元気な時はよくサボつてゐた。
「ボクは今でも、元気な時によく会社をサボります」と、ベッチ。
ちなみに今日は昼からズウッとオパールにゐるベッチであつた。
タカハシくんとハッシーの闘ひが行はれた。
「タカハシくん、オレ、このあいだ一人で映画を観に行つたんやで」
「そんな、ボクなんか今度、ひとりで海外旅行に行くんですよ」
「なに! …ぢやあタカハシくん、これ読める?」
「えー、『キヨミズは…』、あ、違ひます、えー、『シミズは…』…読めません!」
「これは『ウナヅク』。さうですよね、ケンタロウさん?」
ん、あ、さうさう。ハッシーの勝ち!
「ふふん! ぢやあ、タカハシくん、次にこれは読めるか?」
「ええー、……読めない!!」
「あかんなー、これは『ミドリ』だよ」
「え? さうですか? 『ミドリ』は字が違ふんぢやないですか。どうですか、ケンタロウさん」
どれどれ…これは「ミドリ」ぢやなくて「エン」。縁がある、とかの「エン」ね。えーと、これで一勝一敗! かな?
「一寸待つて下さい! 今のはわざと間違つたんです! タカハシくんを試さうとしたんですよ!」
「えー、そんなー、往生際の悪いー」
「な、なにー、パッチギやー!」ガン!!
「あー……」
えー、と、これでハッシーの2勝1敗! …ていふか、反則負けかな?
「よーし、ぢや、次は…」
いつまでもやつてゐて下さい。
小川顕太郎 Original: 2005-Feb-12;