スターウォーズ エピソードIII
実を言ふと、昨日はTOHOシネマズ二条にて「スターウォーズ エピソードIII」を観てきたのである。ちなみに私はスターウォーズシリーズには何の興味もない。子供の頃に第一作と二作(エピソードIVとV)は観たが、あまり面白くなかつたので、以後の作品は観てゐない。印象も薄かつたのか記憶も曖昧で、どんな話であつたのかもよく覚えてゐない、といつた感じである。そんな私が何故「スターウォーズ エピソードIII」を観に行つたのか。それは…副島隆彦のスターウォーズ論を読んだからである! ババーン!
いや、例によつて、またこれが面白くてさ。ついつい、行つてしまつたんだなー。…んで、結論から言ふと、副島隆彦のスターウォーズ論を読んでゐたからなんとか楽しめた、といつた所か。たとへば、パルパティーンが出てくれば、「おー! これがデヴィット・ロックフェラーか!」と喜んだり、ヨーダが出てくれば「うーむ、確かにこれは猫をビヨ〜ンと引き伸ばした顔だ!」と納得したりして楽しんだのである。…それにしても、あのライトセーバーだつたか、光の剣みたいな奴で繰り広げるチャンバラもどき、あのシーンは何とかならんもんか。お前らもつと殺陣とか練習しろよ! と怒りたくなるやうな酷さ。退屈極まりない、といふか、みつともなくて観てゐられない。『キル・ビル』の方が数万倍ましだつたぞ。たとへ満足に殺陣が出来なくても、見せ方によつていくらでも格好良くできるはず。北野武『座頭市』でも観て勉強し直してきてくれ、と、最前列ど真ん中の席で私は孤独に呟いてゐました。さらに宇宙船が飛び交つてバンバン打ち合ふ戦闘シーン。あれも、映画の冒頭10秒くらゐは「お!」と思つたけれども、あとはひたすら退屈。本来の意味での“アクション”が全くない。これ、作つてゐる本人たちは楽しいだらうけど、見せられる方は堪つたもんぢやないなー、と頭を抱へてしまひました。でも、そんなこと思つてゐるのは私だけなのかな?
さて話の方ですが、共和国であつたはずの銀河連邦(だつたかな?)が、パルパティーンが独裁する帝国へと変貌する、といふもの。クローンや分離主義者たちを利用して戦争を起こさせ、テロと戦争の恐怖を強調して自分(パルパティーン元老院最高議長)に独裁的な権利を民主的に移譲させる、といふ、かつてナチスドイツで行はれ、現在アメリカで行はれてゐるのと同じ事態が描かれてゐる。あまりにも露骨で分かりやすいブッシュ・アメリカ批判になつてゐるので、ビックリしてしまひました。分かり易すぎて、ほとんど幼稚な感じさへ受ける。所詮、子供向けの映画、といふ事か。…しかし! たとへ子供向けであつたとしても、このやうなアクチュアルな世界認識を盛り込んだ作品を創れるのが、さすがアメリカ。日本でも、是非同じやうなものを作つてほしいものである。現在の小泉の暴虐ぶりをテーマに、売国奴とは何か、が浮き彫りになるやうな作品とかさ。
小川顕太郎 Original: 2005-Aug-20;