7周年
おかげさまでオパールも 7 周年を迎へることができた。7 年といへば、割と長い。無論、老舗といはれる店が多々ある京都のやうな土地にあつては、7 年間続いたお店など、まだ始まつてさへゐないのだらうが、出会ひがあり、別れがあるくらゐには長い。今日は日頃店に通つてくれてゐる常連さんたちに集まつて貰ひ、みなが持ち寄つた具材で鍋をやつたのだが、これはオパールの 7 周年を祝ふといふ以外に、オイシンを送り出す、といふ集まりでもあつたのである。
そこで、オイシンに悟られないやう、密かに旭日旗にみなで寄せ書きをし、何も知らないオイシンに突然渡して泣かさう、といふ趣向を考へた。普段はオパールで虐められてゐるオイシンだから、まさかこのやうな事をして貰へるとは思つてもゐないだらうし、必ず感激して泣くはずだ。たとへ感激が薄かつたとしても、「アホ」とか「バカ」とか書かれた寄せ書きを見れば、情けなくなつて必ず泣くだらう。我々はオイシンを泣かすために万全の準備を整へた。
鍋に合ふものと言へば何だらうか? と、皆が頭を捻つて持つてきてくれた様々な具材、パイナップルやたこ焼き等を次々と鍋に放り込み、グツグツと煮込んでみなで食す。オイシンは上海に遊びに行つてをり、本日帰つてきて、そのままオパールに来ることになつてゐるので、来るのは遅いのだ。それまで、すつかりオイシンの事は忘れて、酒を飲む。シャンパンに、日本酒に焼酎。チャンポンで飲むから、どうしても頭が痛くなる。私が頭を抱へてゐると、ちやうどオイシンがやつて来た。おー、オイシンやつて来たか。みながオイシンの方を注目する。私が頭痛を堪へて立ち上がらうとすると、スッとハッシーが出てきて、オイシンに駆け寄つた。
「あー、オイシン! 待つてたで!」
「いやー、ごめん、ごめん、遅れちやッて。でも、ホントにハッシーは待つててくれたんかー?」
「当たり前やん! ボクが寄せ書きに書いた文章を見たら、泣くでー!」
「え? 寄せ書きなんてあるの、フーン」
私は一気に全身の力が抜けていくのを感じて、椅子に座り込んだ。周りを見回すと、みんなも頭を抱へて座り込んでゐた。……
と、まァ、なんとか 7 周年 & サヨナラオイシンパーティーは終了した。とりあへず、頭が痛いです。