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 Diary 2004・11月25日(Thu.)

ワダくんお疲れ!

 大宮にある居酒屋「甚之助」にて、ワダくんの送別会を行ふ。とは言つても、大袈裟なことは苦手といふ本人の希望もあつて、オパールスタッフのみによるささやかなものである。奥にある座敷で、流れる演歌に耳を傾けながら、飲み、且つ食ひながら、思ひ出話に花を咲かす。…といふのは実はチョット嘘で、思ひ出話なんてしないのだ。するのはいつもと同ぢ話。当たり前か。で、みんなお酒にそこまで強くないので、少々酒量が過ぎれば、すぐにグズグズしてしまふ。「あー」「うー」とか言ひながら畳の上に転がつてしまつたのだが、これではいけないと外に出て、みんなであたりをフラフラして夜風に吹かれてゐると、マツヤマさんの家の前まで来てしまつた。よし! 今からマツヤマさんの家に行くぞ! ワダくんもお別れをするんだ! と、私は乗り込まうとしたのだが、酔ッ払ッてゐるんだから止めなさい、とみんなに制止され、ワダくんも「まだ京都にゐるんで、オパールにも行きます」と言ひながら自転車で去つていき、気がつけば夜道にひとり、ポツンと残されてゐた。

 フッと頭をあげると、目の前に公園があり、真ん中に黒くて大きい影があつた。なんだらうと近寄つてみると、それは「件」であつた。「件」は白い息を吐きながら、生臭い匂いをさせ、湿つたやうな視線をこちらに向けてゐた。普段は臆病な私なのだが、酔ひの力もあつたのか、その時は不思議と平気であり、さらに近寄つて耳を「件」の口元に近づける。生温かい息が耳にかかつた瞬間、手が「件」の首筋に触れ、ヒンヤリとした感触が私の身体の芯を貫いた。「件」の目はあくまで円らで、白く光つてゐた。…

 明日から、新しいオパールが始まる、と私は思つた。

小川顕太郎 Original: 2004-Nov-27;