絶対
タカハシくん来店。些か興奮した面持ちで、「自転車買つたんッすよ!」と言ふ。私は自転車に全く詳しくないし、タカハシくんも自分の買つた自転車についてよく分かつてゐなかつたので、どのやうな自転車なのか、イマヒトツよく分からないのだけれど、どうもロードレーサータイプの自転車のやうで、値段的にも 10 万円を超える立派なもののやうだ。これはまた思ひ切つた買ひ物をしたものである。盗られないやうに、気をつけて下さい。
ババさん来店。タカハシくんに購入した自転車のことについて色々と尋ね、逆にタカハシくんに色々と質問されてそれに答へ、一段落したところで、「ところで、まだ映画『マッハ!』は観てゐないんですか」と周りを見回して言ふ。
京都ではまだ公開されたばかり、その場にゐた人間はババさんを除いて誰も観てゐなかつた。
「絶対に観て下さい!」とババさんは力を込めて言つた。
はい、もちろん観るつもりではゐるんですけど…。
「絶対に、絶対に、絶対に観て下さい!」
は、はい。ぢやあ、急いで観に…
「絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、ゼッッッッッッッッッターイに、観て下さい。」
分かりました。必ず、観ます。
「そんなに面白いんですか、その映画?」とタカハシくんが尋ねた。
「もちろん! ……うーーーーん、でも、やはり、どうか、なァ……」
とババさんは頭を抱へてしまい、その様子を見てタカハシくんはオロオロしてゐた。
オオヤさん来店。Daniel Jhonston のサイン入り T シャツを着てゐる。
「これ、オヤジさんのサインも入つてゐるねん。ボクが先にオヤジさんにサインもろたら、Daniel Jhonston メッチャ怒つてて。おかしかつたわー」
オオヤさんは、暑すぎて何をする気も起きない、と言ふが、確かに無精髭が伸びまくつて、もう立派な髭となつてゐる。今年の夏はキツイねー、とオオヤさん。
確かに、キツイ、です。
小川顕太郎 Original: 2004-Jul-28;