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 Diary 2004・12月16日(Thu.)

卓球

 生まれて初めて卓球といふものをしてみた。もしかしたら子供のころ、旅行先の旅館とかでやつた事があるかもしれないが、記憶する限りではやつた事がない。ので、多分人生初の卓球。場所は河原町通りに面した「JJクラブ」。導師は「卓球は生涯の友」と公言するウメドンである。このJJクラブといふ所は、15分105円で様々なことをして遊べる、といふのを売りにしてゐるレジャービルである。具体的には、ボーリングやビリヤード、バスケ、フットサル、カラオケにゲーム各種、釣り堀まである。その中に卓球もある、といふ訳だ。まづビルに足を踏み込むと、変なトンネルみたいなところを通らなければならない。そこを抜けると、受付があり、初めての人はここで350円を払つて会員になり、会員証を発行して貰つてからビルの各階にある遊び場へと向かう。全体的にいい加減な作りで、ここはもと他の目的があつたビルを改装してゐるのだが、なるべく前の形には変化を加へず、むりやりレジャー施設を詰め込んでゐる、といつた風情だ。殺伐として、貧乏くさい。トモコが「ここ『ねこピョン』みたいねー」と言ふが、言ひ得て妙だと感じた。

 卓球場は、ネットで囲まれた狭いところで、カーペットの上に卓球台が5,6台乗つてゐる。土足厳禁なので、みな靴下及び裸足で駆け回つてをり、独特の臭気がほのかに漂つてゐる。ううーん、ここでやるのか…。ま、仕方ない。

 卓球のラケットの持ち方には、ペンホールドとシェイクハンドの2種類がある。私とトモコはペンホールドを、中学時代に卓球部であつたユキエさんはシェイクハンドを選択した。

「あ、わたし、左手でやるわ」とトモコ。

 左手で? そんな、右手でもろくに出来ないのに、左手で大丈夫なの?

「どうせ右手でも出来ないんだから、左手でも一緒よ。今から始めるんだから。普段は使つてゐない筋肉を使ひたいの!」

 なるほど。まづはサーブから始める。

「ハー! ヤー! ター!」

「…なんか違ふなァ」

「なによ、文句あるのウメドン! あるならチヤント指導しなさい! ハー!!」

 卓球はみかけによらず動き回らなければならないのでかなりの運動量が要求される、とはよく言はれる事だ。実際にやつてみると、この言葉は本当だと実感される。トモコがアッチャコッチャにボールを飛ばすので、それを拾ふために我々は走り回らなければならず、すつかり汗だくになつてしまつたのだ。なかなかヘビーなスポーツである。

「ハー! ヤー! ハッ!!! ……タタタタタ、イタイー!」

 傍若無人にボールを飛ばしまくつてゐたトモコが、筋肉痛を訴へて退場した。確かに、ヘビーなスポーツだ。

 それにしても、他にもつとマトモな卓球場はないのだらうか。

小川顕太郎 Original: 2004-Dec-18;