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 Diary 2003・11月12日(WED.)

怨み節

 タケダくん来店。「第 2 回小林秀雄賞は、吉本隆明と岩井克人が受賞したんですが、どちらの受賞作も『語り起こし』スタイルだつたさうですよ。著者が語つたことを誰かが書き留め、それに著者が手を入れて完成させる、といふことです。どうもかういふ手法が流行つてゐるみたいです。で、『店主の日記』もさういふ風にしたらどうですか、と」

 なるほど。でも、誰が書き留めてくれるのだらうか。タケダくん、やつてくれる?

 ワリイシさん来店。映画『キル・ビル』の帰り。「さういへば昔、アヤちやんが祇園で働いてゐた時、お客さんがお店に梶芽衣子を連れてきてくれはつてんて。で、ダメモトで、『怨み節』を歌つて下さい! ッてお願ひしたら、『いいですよ』ッて、機嫌ようカラオケで歌つてくれてんて。アヤちやん、私の一生の宝やわ! ッて、喜んでゐたわ」

 そ、それは羨ましすぎる。オパールに来店した有名人といへば……。

 ヤマネくん来店。「『キル・ビル』はねェ、ボクは悔しかつたです! あれは日本人が撮らなアカンでせう! 全く、アメリカのオタクにやられるなんて…『マトリックス・レボリューション』も『風の谷のナウシカ』だつたし…。さうさう、『ラスト・サムライ』とかね、もうハリウッドは日本ブーム、これで日本人を喜ばせといて、またまたたつぷり日本からお金を搾り取る魂胆ですよ! アメリカ許せーん!!」

 まあまあまあ。うーん、さうだ! 『バッドボーイズ 2』面白さうぢやない? ウィル・スミス好きのヤマネくんとしては、どうなの?

「何を言つてゐるんですか! あれはマイケル・ベイ & ジェリー・ブラッカイマーの『パールハーバー』コンビの作品ですよ! 許せーん!!」

 さ、さうですか。えー、そのー、ヤマネくんが最近面白かつた作品は、何かないの?

「んー、やはり『ジョニー・イングリッシュ』ですね!」

 ああ、あのローワン・アトキンソンが主演の…

「さういへば、ヤマネくんッて、ローワン・アトキンソンに似てるわねー」と、突然トモコが介入。

「え? さうですか。そんなこと、初めて言はれましたけど」

「いやー、似てる似てる。前からさう思つてゐたのよ」

「…あまり、嬉しくないんですけど」

「あ、さう。でも似てるわー」

「……」

 私は密かに『ラスト・サムライ』が楽しみです。

小川顕太郎 Original:2003-Nov-14;