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 Diary 2003・4月22日(MON.)

「校正」といふ仕事

 可能涼介は、もちろん物書きではあるのだが、それだけで生計を立ててゐる訳ではない。生計は、主に「校正」といふ仕事によつて立ててゐる。マイナー物書きには、このやうな人が多い。可能の職場でも、物書きの人が何人かゐるさうだ。その中には、私も愛読してゐる堀切直人なんかもゐたりするのだが、それはさておき、可能から電話があつた。

「大西さん(大西巨人)の『精神の氷点』、確か持つてたよねえ、あれ今ちよつと見てくれない…あ、あつた? それのねえ、6 ページ見て。それの 5 〜 6 行目を読んでよ。主人公には兄二人、姉が一人ゐた事になつてゐるだらう? ぢや、次は 54 ページの後ろから 5 行目を読んで。…な、主人公の兄弟は、兄と姉の二人、と書いてあるだらう。こういふのを見つけるのが『校正』といふ仕事なんだよ。…なんだか、疲れちやつたよ」

 別に、可能は仕事で『精神の氷点』を読んでゐた訳ではない。普通に、自分の楽しみのために読んでゐたらしいのだが、それでも、このやうな事に気が付いてしまう、といふ事だ。『精神の氷点』において、主人公の兄弟の数など、どうだつてよいやうなものなのだが。一種の職業病か。

 雑誌の取材がある。最近は、デジカメを持つた人が一人でやつて来て、写真を撮り、話を聞いて帰る、といふ取材が多かつたのだが、今日は久しぶりに本格的な取材であつた。なんだか懐かしい感じ。

 また、本日は最高に暇であつた。…ま、4 月だし。てな、訳で。

小川顕太郎 Original:2003-Apr-24;