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 Diary 2002・9月9日(MON.)

エースを出せ!

 日垣隆の新刊『エースを出せ! 脱「言論の不自由」宣言』(文藝春秋)を読み始めた。読み始めた、だけで何か感想を記すつもりか、と言われるかもしれないが、正にその通り。ワダくんがぎっくり腰で店を休んでいるので、その分、朝から晩まで店に出なければならず、日記なんてまともに考えて書いている暇がない。だから手元にあった本をちょいちょいと冒頭だけ読んで、感想を記すのだ。

 冒頭は、朝日新聞の「天声人語」批判。実はこの文章は、雑誌「諸君!」に載った時に読んでいるのだが、その時は立ち読みの斜め読みで、「うーん、日垣隆、相変わらずやっているなあー」という感じだったのだけれど、こうやって単行本でじっくり読むと、爆笑の連続。随所に皮肉の効きまくった素晴らしい原稿だった。

「天声人語」と言えば、小学校や中学校の時に、学校や塾で「文章を書く練習」と称して読まされて感想を書かされたイヤな思い出しかない。これこそが良い文章の規範だ! と押しつけられたのだけれど、読んでも全く面白くなく、その頃は筒井康隆を愛読していた私は、このまま自分は長じて人類を呪うようになり祖母を殺したりするのだろうか、という不安に苛まれていた。(というのは大袈裟だけれど、アサクラミナミ事件の余韻がまだ生々しかった当時、私は親から「そんな本を読んでいたら頭がおかしくなるよ!」と注意されたのを覚えています)

 で、歳を重ねるにつれて、私はドンドンと朝日に対する不信感を強め、そもそも新聞なんて読まなくなり、自然と「天声人語」の事なんて忘れてしまった。それが、この日垣隆の文章で何年かぶりに「天声人語」の一部を読むことになったのだが…酷い! これは、いくら何でも、日垣隆が捏造しているんじゃないか? と邪推するぐらい、想像を絶した酷さだ。しかし、朝日新聞社と言えば、「大蔵省か朝日か」と言われたぐらいの一流会社。このような駄文を毎日書いているだけでも、莫大なお金を貰っているはずだ。ううん、なんだか腹がたってきた。私が、一杯 500 円のコーヒーを売るのに、どれほどの苦労をしていることか。っていうか、謙遜に謙遜を重ねて、将来朝日から原稿依頼を受けるかもしれない事を考えて媚びを売って、「天声人語」を持ち上げ、「店主の日記」を落とせる所まで落とした上で較べてみても、私の日記の方が「天声人語」より 5 万倍は面白いじゃないか。代わりに私が書きましょうか?

 ……あ、仕事に行かなきゃ。

小川顕太郎 Original:2002-Sep-10;