換気扇
我々は現在住んでいる家に引っ越してくる時に、前の家から換気扇を持ってきていた。現在住んでいる家にすでに付いていた換気扇が、あまりにも古くさかったからだ。しかし、いざ取り替えようとすると、大きさが違う事が分かった。すでに付いていた換気扇は大きく、したがって、壁に開いた穴も大きかったので、持ってきた換気扇がその穴にすっぽり入ってしまい、そのままでは取り付け不可能だったのだ。引っ越し時のゴタゴタもあって、とりあえずは現行のままで、まあそのうち取り替えようと思いながら、ズルズルと 5 年も経ってしまった。それが目出度く(?)、このあいだ換気扇のスイッチの紐が切れたので、いよいよ本腰をあげて取り替え作業にとりかかる事とあいなったのである。
まず前の家から持ってきた換気扇をオパールに持っていく。オパールには、度重なる改装工事のたびに出る廃材が、店の裏に隠してある。そしてオパールには、ショウヘイくんが居る。「ショウヘイくん、この廃材を使って、この換気扇の周りに木枠を取り付けたいんだけど、手伝ってくれるかなあ」「はい、いいですよ」。が、結局ショウヘイくんがひとりで全部やってくれる。我々はショウヘイくんに感謝しながら、その換気扇を持って帰り、今度は我々自身でそれを現行の換気扇と取り替えた。
音がしない! いや、もちろん微かに音はしているのだが、今までの換気扇の発していた「ブオオオオー!!」という轟音に較べれば、無音も同然だ。我々は 5 年ものあいだ、とんでもない騒音とともに暮らしていた事になる。今にして思えば、よく 5 年も耐えられたものだ。「住めば都」という言葉が頭をよぎる。「テレビで見るのは映画じゃない」とゴダールが言う。「WHO RIDE WIT US ?」とダズが言う。「わたし」と雀が言いました。「わたしが弓と矢で、ダズを殺したの」。おいおい、これはシャレにならないかもしれない。あの人達は本当に殺されたりしますからね。今や DJ クイックと並んでウエッサイの寶であるダズには、ちゃんと長生きして貰って、どんどん曲を作ってもらいましょう。
これからは換気扇がまわっていても音楽が聴ける、と思うと、私は嬉しいのであった。
小川顕太郎 Original:2002-Dec-9;