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 Diary 2001・9月26日(WED.)

暴れん坊街道

 京都映画祭太秦スター特集の 1 本、『暴れん坊街道』(内田吐夢監督・1957 年)を、祇園会館に観に行く。ほんとは「特別企画・ロシア帰りの日本映画」の方を観に行きたかったのだが、会場である「京都市右京ふれあい文化会館」の場所がよく分からなかったので、ま、いいかあ、と祇園会館に行ったのだ。

 ゲストである山田五十鈴は体調不良のため欠席。年だから、仕方ないか。代わりに中島貞夫が山田五十鈴について喋る。山田五十鈴のおひきずりの裾の返し方がいかに素晴らしかったか、大女優でありながらいかに偉ぶらなかったか、などを喋る。

 で、本編。原作は近松門左衛門で有名な話らしいが、私は知りません。お家のために、離ればなれになった親子 3 人が、偶然に偶然が重なって再会するが、それは悲劇として終わる、というもの。涙・涙・涙、ですな。私も泣きました。子役(片岡千恵蔵の息子だったかな?)が凄くよくて、感動的。それに絡む佐野周二の優男ぶりも最高。私はこういった優男が大好きで、卒然としてヒュー・グラントを思い起こしたのでした。無茶苦茶な連想かもしれませんが。

 近代文学より前の話にはありがちな事ですが、話がご都合主義的というか、偶然を多用しまくりなんですね。そういうのが近代文学から批判された訳ですが、今となっては、そういう批判は失効している。要は作品の力の問題で、確かに我々もこの映画を観ていて、あんまりのご都合主義に笑ってしまう所がある訳ですが、笑いながらもしっかり感動している。ラスト近くで、関係ないと思われていた 3 人が、次々と親子と分かるシーンがあって、そのあまりのご都合主義に、場内からは笑いが起こったのですが、みんなの目はしっかり涙を流していた。はず。私は笑いながら、泣いていました。素晴らしいです。

 観客は年齢層がかなり高かった。数もそれほど多くない。現代イタリア映画もいいですが、若い人にはこういった昔の日本映画をこそ、観て欲しい。って、私はいったい何者なんでしょうかー。

 オパールに行くと、ババさんもヤマネくんもショウヘイくんも、みんな「特別企画・ロシア帰りの日本映画」を観に行っていて、「『維新子守歌』面白かったですよ」「『爆弾花嫁』最高!」「いやあ、『をぢさん』も良かったよ」と喋っている。ああー! 私もやっぱり「特別企画・ロシア帰りの日本映画」の方に行けば良かったあー!!

小川顕太郎 Original:2001-Sep-28;