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 Diary 2001・9月8日(SAT.)

ぼんち

 ベッチがカウンターで山崎豊子著『ぼんち』を読み終わり、「ああー面白かった」と溜息をつく。『ぼんち』は、戦前の大阪船場の風俗を描いた小説である。「ぼんち」とは、「ぼんぼん」が単なる良家のドラ息子なのに較べて、気骨があり、商売もきっちりやって儲け、遊びの方も筋の通った放蕩をする人間の事をいう。老舗の足袋問屋「河内屋」の跡取り息子・喜久治が、「ぼんぼん」から「ぼんち」へと成長していく様を、船場の風俗を巧みに取り入れながら描いている、山崎豊子初期の傑作だ。

 ベッチは「浪費王」と異名を取るぐらいの放蕩好きだし、勤めている会社は船場にある。そして和服でオパールに来店した時など、いかにも「ぼんぼん」風のルックスなので、きっとこの小説の事を気に入ると思い薦めたのだが、案の定、気に入ったようだ。「よーし、セコセコするのは辞めて、明日からまた思いっきり放蕩するぞ!!」と息巻きながら、ベッチは帰っていった。…あのー、収支の帳尻を合わさないと、「ぼんち」とは言えないんですけどー…。

 今日は暑かった。また暑さがぶり返してきたのかー。

小川顕太郎 Original:2001-Sep-9;