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 Diary 2001・10月31日(WED.)

新書『タリバン』
を読む

『タリバン』田中宇著(光文社新書)を読む。分かりやすくて、面白い。興味深かった話を何個か抜く。

 タリバンと言えば、「女性差別」という言葉が返ってきそうなぐらい、タリバンの女性差別は有名だが、その象徴とされるのがブルカ。頭から足の先まですっぽりかぶる服で、目の所だけが開いている。ところが、アフガニスタンの女性でブルカを嫌がっているのはせいぜい 1 割ぐらいだという。ブルカはアフガニスタンの民族衣装であり、基本的に彼女達はブルカに誇りを持ち、好きなのだそうだ。ただ、ブルカを着ていないという理由でタリバンに暴力を振るわれるのは非常に嫌がっているが。だから、アメリカの人権団体が、ブルカの存在そのものを女性差別的と言って攻撃するのに対しては、みんなとても怒っているという。

 これは日本に話を置き換えれば分かりやすいかもしれませんね。日本の着物も、一時期アメリカの人権団体に、女性の動きを制限するために作られた女性差別的な服だ! と糾弾されていましたから。人権団体に言わせると、昔の日本は女性差別の国だから、着物のような服を無理矢理女性に着せて、女性の自由を奪っていた、という事になる。例え日本の女性自身が「そんな事はない。私は着物が好きだ」と言ったとしても、それはあなたが洗脳されているからよ! 早く目を覚まして私たちのようになりなさい!! と言い返される。まったく、人権団体というものは独善的ですね。

 また、9 月 11 日の米中枢同時テロ事件が起きた直後のヨルダンの新聞には、「日本赤軍の犯行ではないか?」と、非常に肯定的な意味合いで書かれていたそうだ。今でも、あそこら辺では日本赤軍は英雄のようだし、なんといってもカミカゼアッタク! だったものだから、日本赤軍がやったと思われたのだろう。日本赤軍ならやってくれるかも! という熱い期待があった訳ですね。うーん、しかし重信房子は獄中に居るのであった。最近は情報を聞かないけれど、どうなったんでしょうか?

 それから、タリバンはバーミヤンの石仏を破壊した事でも悪名を馳せましたが、これは金正日の真似をして失敗したのでは? と書かれていました。つまり、国際社会の嫌がる事をわざとやり、あるいは危ない国である事を演出し、各国から譲歩とお金を引き出す、という金正日のやり方の事です。北朝鮮はそれでうまくやっていますが、タリバンはどうにも外交下手で失敗。嫌がられるばっかりで、うまくいかず、今回の米国による攻撃に繋がった、と…。でもアフガニスタンのゲリラはむちゃくちゃ強いですからね。米国は勝てないんじゃないか? と言われています。などなどなど、量も少なくて読みやすい。お薦めです。

小川顕太郎 Original:2001-Oct-2;