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 Diary 2001・5月10日(THU.)

アギーレ

 みなみ会館にヴェルナー・ヘルツォーク監督/クラウス・キンスキー主演『アギーレ神の怒り』(1972 年)を観に行く。みなみ会館の椅子が新しくなってから初めて行ったのだが、噂通り座りやすい! こりゃいいわい、と思いながら映画に臨んだ。

 16 、7 世紀、当時最強を誇ったスペインはエルドラドを求め、多くの人間を中南米に送り込んだ。実際、中南米の銀山がスペインに莫大な富をもたらし、世界覇権国として君臨することを可能にしたのだが、このように送り込まれた人間の全てがスペイン王に忠実だった訳ではない。なかにはスペイン王に公然と反旗をひるがえし、自分自身が征服したエルドラドに君臨しようと考える、傲岸不遜な人間もいた。そういった人間のひとり、ロペ・デ・アギーレが、この映画の主人公である。

 このアギーレを、クラウス・キンスキーがまさに怪演。もうかっこよすぎ。自分自身を「神の怒り」と呼び、地上の全ての権威を軽侮・否定しつくすアギーレ=キンスキーの不敵な様子にしびれた。ペルーのアマゾンの様子も、静かで無時間が支配するような、特殊の境涯のような、人外の地のような、独特の雰囲気が出ていて魅力的だ。

 この映画に影響を受けて、コッポラが『地獄の黙示録』を撮った、というのも納得できる。『地獄の黙示録』で、ベトナムの奥地にまで行って、軍令を無視してそこに勝手に王国を築いて君臨しているカ−ツ大佐=マーロン・ブランドこそ、アギーレの末裔だろう。そして、カーツ大佐のモデルと囁かれる、自分の支配した未開の土人達の国=日本に軍令を無視して勝手に君臨したマッカーサーも、アギーレの末裔なのかもしれない。

 大いに満足して映画館を出る。

 しかし、我々の一日はまだ終わらなかった。実を言うと、本日は定休日であるオパールに新しいソファーと机が導入された日なのである。それを、ショウヘイくんとオイシンが「『アギーレ』を観に行く」というのを利用して、「じゃあ一緒に観に行こう!」と誘ったついでに、映画に行くまでの時間ずうっとオパールで新しいソファと椅子の設置を手伝わせていたのだが、盲滅法に買ったものなので、どうもうまく配置できない。結局、映画の時間までに終わらず、先に映画を観て、帰ってきてさらに設置を続行するはめになった。

 意見の食い違いやなんやかやで、一応の決着をみるまでに朝方までかかる。エキスポに棚を作ってもらう予定なので、あとはそれが出来てからさらなる手直しをしようということで、完璧主義者・神の怒り・トモコが納得したのが、決めてになったのだ。私は途中でダウンしていた…。それにしても…明日の晩はソウルサバイバーズじゃないか!! まだレコードを選んでいない。どうしよう…。

小川顕太郎 Original:2001-May-12;