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 Diary 2001・6月25日(MON.)

日本の身体

 暑いですね。あんまり暑いとついつい家の中でゴロゴロしがちなんですが、それではイカンと必ず散歩することにしているんですよ。なんだか老人みたいですね。世は自転車ブームということで、みんなかっこいい自転車に乗ってカフェに映画館にと走り回っているようですが、私なんて散歩して帰ってきても、やっているのが書道ですからね。じじむさいです。

 それはそうとして、今まで散歩する時にはゴム草履を履いていたんですが、これを最近、焼桐の下駄に変えたんですね。ちゃんと鼻緒がついているやつ。なかなかかっこよくて気に入っているんですが、ちょっと歩きにくい。これは何も下駄のせいではなく、私の歩き方のせいなんですね。

 普段は靴で歩いているので、踵から落とすような歩き方になっている。でも下駄はそんな風では歩けません。足先から落とすようにしなければ歩けない。これが馴れないもんだから難しい。たまに靴でも足先から落とすように歩く人がいて、なんだかみっともないなあ、と思っていたのですが、あれは下駄で歩くように歩いている訳ですね。こういう時に、日本の文化と西欧の文化の違いに愕然とさせられます。そして自分達がしっかりと文化的に植民されているのを自覚させられるのですね。うーん、憂国。

 で、それに関連する事なのですが、雑誌「新潮 45」7 月号に斉藤孝『身体感覚を取り戻す―腰・ハラ文化の再生』という興味深い論文が載っています。これは日本人が長い年月をかけて培って来た身体文化が、明治以降の西欧化の波にやられてだんだんと消滅し、いまや日本中に姿勢の悪い若者が溢れるようになった、という内容のものです。

 じゃあ、昔の日本人の基本的な身体文化とは何だったのか。それを著者は「腰・ハラ文化」と命名します。腰・ハラに中心がある文化ですね。例えば自然体は、下半身が安定し、中心軸が通っていて、肩の力が抜けている「上虚下実」というものです。中心は臍下丹田。これは凄く存在感があってかっこよかったらしく、当時の西洋人も感心しています。ヨーロッパ人はどちらかの足に重心をかけ、肩をあげて胸をはり、「立派」というポーズを作り上げるが、日本人は片方の足だけに重心をかけるような事はしない、と。またそれに対して日本人の方が、西洋人は後ろからついたら転ぶような姿勢をしている、と呆れている。……なんだか嘘みたいですね。

 やっぱ着物を捨てて、洋服(「洋」の服!)に変えた時点で、もうダメですね。さらに戦争に負けちゃったんで、もうわやくちゃですね。戦争はできるだけしないに越したことはない。でもやるからには絶対に負けてはいけない。これは鉄則ですね。ははは。うーん、次やるときは、絶対に勝ちましょう!

小川顕太郎 Original:2001-Jun-27;