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 Diary 2001・7月22日(SUN.)

パール・ハーバー

 行ってまいりました。マイケル・ベイ監督、ジェリー・ブラッカイマー制作の国辱映画『パール・ハーバー』。ヤンキーの男女らで 3 分の 1 ほど席の埋まった美松映劇で約 3 時間。堪能してまいりました。

 一言でいうと、しょうがねえなあ、といった感じ。映画そのものが下らない事は、あらかじめ分かっていたので、真珠湾攻撃 60 周年にあたる今日、あの真珠湾をいかように描いたのか、といった所に注目して観たのですが…。

 観る前の事前情報によると、真珠湾攻撃はルーズベルトの陰謀だった、という今や決して無視する事のできない説をまったく考慮にいれず、ひたすら日本軍を悪く描いている、という事でしたが、その点は少し違うと思いました。

 日本軍の事は、悪く描くというより、まともに描こうという意志さえない、という感じでした。例えば、零戦に乗った日本兵がハワイの住民に、危ないから逃げろ! と叫ぶシーンをいれてみたり、日本の軍人に、本当は戦争はやりたくないがアメリカに燃料も食料も止められてこのままなら日本が滅びるから仕方なく奇襲をかける、と言わせたりして、あたかも日本の事情も分かっているよーといった風を装っています。

 しかし、日本の秘密軍事会議が、子供達が凧あげをしている野原で行われていたり、日本の軍艦の中がまるでタイの寺院みたいになっていたりと、いいかげんな事はなはだしい。いまどきよくもこんな杜撰な映画を撮ったなあ、と呆れてしまいました。このように、相手の事をまったく分かっていない(分かろうともしない)くせに、理解だけは示したがる輩が一番たちが悪いんだよねえ。

 それでも、トンデモ映画をみる感覚で、日本軍の無茶苦茶な描き方もそれなりに楽しんで観ていたのですが、零戦が病院と赤十字の車を攻撃するシーンだけは、ムカっとしました。病院や赤十字の車などを攻撃する事は、はっきりと戦争犯罪です。もちろん、日本軍はそんな事はしていません。このシーンは(あきらかに . 嘘なので)さすがにアメリカ内でも揉めたらしく、当然カットされているとばかり思っていたのですが、もう思いっきり描いてありました。許し難い。

 はっきりいいますが、病院だけでなく、民家も含めて非戦闘員である一般国民 10 万人以上を焼き殺したのは、アメリカ軍の行った東京大空襲ではないですか! そしてさらに原爆まで落として 30 万人以上を殺しています。これらは、誰がどうみたって戦争犯罪ですが、裁かれていません。それどころか、日本にやってもいない南京大虐殺 30 万人という罪を捏造して押しつけ、裁いています。この 30 万人という数は、自分らのやった原爆での虐殺数 30 万人に合わせた、と言われています。ううん、許せん!

 とまあ、怒りながら観ていたのですが、パール・ハーバーで散々な目にあった主人公達が、卑劣なジャップをブチ殺してやるぜ! といいながら東京の爆撃に向かったのには、脱力してしまいました。とほほほほ。よーやるよなー。

 それはともかく、攻撃を受けて逃げ回り、悲惨に死んでいく人たちが執拗に描かれます。こういうのは我々日本人にはお馴染みですね。小学校の頃から、アメリカ軍に爆撃されて悲惨に死んでいく人たちの映画をどれだけ見せられた事か! しかし、ここで違うのは、我々日本人の映画だと、こんだけ悲惨な目にあったからもう戦争はごめんだ、というメッセージが付くのですが、『パール・ハーバー』は、こんだけ悲惨な目にあったのだから徹底的にやり返せ! というメッセージが付いている事です。ううん、よし! 我々も見習いましょう! この『パール・ハーバー』の屈辱を忘れず、徹底的にやり返してやり返してやり返しまくりましょう!! トラ、トラ、トラや!

小川顕太郎 Original:2001-Jul-24;