はじまりのことば
可能涼介から荷物が届く。可能の新著『はじまりのことば』(理論社)だ。理論社は児童文学の出版社としては老舗で、ということはつまりこの可能の本は児童文学なのだ。
可能が児童文学? 前著『反論の熱帯雨林』(テアトロ)のキチガイスレスレの危なさを思い浮かべ、恐々と包みを開けると、びっくりするような良い本が出てきた。白い表紙にやや小さな字で「はじまりのことば」と書いてあり、表紙の半分を覆う大きな水色の帯が巻いてあって、室井佑月と桝野浩一の推薦の言葉が記してある。前著の、銀色の帯に佐川さんが「羊水が破裂した」とか書いてあるのとは、大違いだ。
内容のほうはどうか。とりあえず私は、ムチャクチャ面白かった、と言っておく。今日も店が暇だったので、一気に読んでしまったのだ。が、客観的な判断は、今はちょっと下せない、とも付け加えておこう。何故なら、私と可能は小学生の時からの知り合いなのだが、お互いに共通の思い出・エピソード、可能から聞いたことのある逸話、などが満載であり、あまつさえ、「オパール」という名前の喫茶店まで出てくる始末。さらに「オパール」には、「健太郎」という名の若者が働いているのだ! これではちょっと客観的な評価は難しいというものだ。今すぐには。
それでも私は、これはかなり良い本だと確信する。みなさんにも是非、御購入を勧める。そして、みなさんがこの本を読み終わった頃、私はこの本のレビューをするつもりである。その頃には、私も客観的にこの本を読めるようになっているだろう。まだ、発売していないが、今月中には本屋に並ぶはず。本屋に並ばなくても、アマゾンで買えるはずだ。騙されたと思って、御一読を。
階下の店のミスで、火災報知器が営業中に鳴りだし、難儀した。管理会社が止めに来るまでの、多分 10 分程が、異常に長く感じられた。何故かその時に限ってお客さんが結構居て、ひたすら謝り歩く。とにかく音がでかい、うるさい! まったく、まいりました。
小川顕太郎 Original:2001-Jan-19;