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 Diary 2001・12月22日(SAT.)

宿題

 テラダさん来店。「宿題を持ってきたよー」と言って、 印材 (石)と印刀 (鉄筆)を取り出す。実を言うと私は、次の木曜日 ( オパールの定休日) にテラダさんの家に遊びに行く事になっているのだ。その時までにこれをやってこい、という事らしい。が、私は篆刻なんてやった事がない。篆刻教室に通っているが、いまだ篆刻をやった事がない。いったいどうすればよいのか?

「本とか持ってるやろ? それを見て、まあ自分なりに考えて彫ってきいな。」

 …そ、そうですか。テラダさんの持ってきてくれた印材には、すでに布字がしてある。だからそこを彫るだけで良いのだが…。

 家に帰ってさっそくやってみる。石には、私の名前である「顕太郎」が篆書で書いてあるのだが、やたら画数が多くてうんざりする。不器用な私にこんな細かいものが、彫れるだろうか。とにかく、入刀…。固くて、なかなか入刀できない。思い切って力をいれると…ギギイーと、またたくまに石の面上を刀が滑って、無惨な白い跡ができる。うーむ。慎重に、慎重に…ギギイー、ギギイー…。

 …クックックック…途中から笑いがこみ上げてきて止まらなくなった。すでに面上には無数の白い線が交差して、もとの字が何だったのか全く分からなくなっている。篆刻は途中で失敗しても、やり直しがきくから、書より楽だよ、とかなんとか言われていたが、こんなもの、やり直しができるのか? もう、ぐちゃぐちゃやん。

 部屋の片隅で背中を丸めて、クックックック…と笑い続けていると、トモコに「なにー? 気持ち悪い」と言われてしまった。確かに、自分でも気持ち悪いわ。

 前途、なかなかに多難です。

小川顕太郎 Original:2001-Dec-24;