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 Diary 2000・9月13日(WED.)

大雨の余波

「もう今年は阪神タイガース、駄目です。」とヤマネくん。「それでも良いことがあったんですよ。まあ、ケンタロウさんは絶対に知らないだろうから予備知識として教えますが、今、日本中は大雨の余波で大変な事になっているんですよ」。

 それは知らなかった。オパールも雨漏りしたりして昨日は大変だったけど。

「それどころじゃないですよ! 新幹線は止まるし、人は死ぬし、名古屋ドームなんか水没したんですよ! ドームのくせに」。

 そんな大変な事になっていたとは…で、そういった悲惨な状態の中で、良いことって何?

「実はねえ‥その 22 時間も立ち往生していた新幹線の中に、巨人軍の選手団が閉じこめられていたんです!!」。

 うん、それは良かったね!


 ミツギちゃんが来店。最近、第二次世界大戦について思うことがあり、且つ無知とそれに対する開き直りに関する事にも思うことがあり、それに絡めて自分で書いたゴダールの映画史レビューと私が日記で言及した大西巨人の小説についても考えたりして、何だかモヤモヤするのだけれど一体何をどうモヤモヤするのか考えているのか気になるのか分からなくて、とりあえず来たそうだ。

「わたし、ケンタロウさんに言いたいこと訊きたいことがあるんですけど‥何を言いたいのか訊きたいのか分からないんです」。

 そ、それは、私もどう答えていいのやら分かりません。

「なんか、その、自分がどう考えているか分からなくて…ケンタロウさんはいつも日記で自分の考えをズバッと断言して凄いですね。しっかりと自分の考えがあるようで、羨ましい…。」と、どちらかと言うと恨めしそうな顔で言うので、私はミツギちゃんに、私の「しっかりとした考え」のからくりを教えてあげる。

「それはね、ミツギちゃん、私は自分の断言できる事だけを書いているから、しっかりした考えを持っているように見えるだけなんだよ」。

「なあんだ、そっか」。

 そうそう。そうなんですう。

小川顕太郎 Original:2000-Sep-15;