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 Diary 2000・10月9日(MON.)

変な人

 ショウヘイくんがオパールに出勤しようと、土砂降りの雨の中を傘をさして歩いていると、髪の毛を真ん中でキチンと分けた小柄な人に呼び止められた。「あの、ボクはボクシングをやっているんですが、腹筋を鍛えるのに協力して貰えないでしょうか」。

 ショウヘイくんは一瞬、頭の中が真っ白になったが、思わず「はい、え、あの、どこで…」と聞き返した。するとその人はニッコリ笑いながら「すぐ、そこで」と、あらぬ方向を指さした。「いやあ、ちょっと仕事にいかなくちゃならないから…」と、ショウヘイくんが拒むと、「そうですか」と、案外あっさりその人は立ち去っていったそうだ。

「彼は一体なにがしたかったんでしょうか」と、ショウヘイくんは首を傾げる。ううん、それはやっぱり腹筋を鍛えたかったんじゃないのか。って、そんな訳ないか。

 こういう行動の意図が分からない人の話を聞くと、いつも思い出すのがトモコが女子大生の頃の逸話だ。トモコが電車に乗って席に座っていると、自分の前に立っていたおじさんに、いきなり頭の上に豆腐を乗せられたそうだ。そしておじさんはそのまま立ち去っていったらしいのだが、この人も行動の意図がさっぱり分からない。女子大生の頭の上に豆腐を乗せるのが楽しいのか? 楽しいかもしれんな。

 本日は雨。店は暇。故に、ショウヘイくんのメキシコ土産の「メスカル」をみんなで飲む。「メスカル」は、蒸留酒に、蛆虫を洗って汚物を吐き出させたものを漬け込んだお酒。ショウヘイくんが買ってきたのは、瓶の中に蛆虫が 1 匹だけ入っているものだが、メキシコ山中などでは、瓶の半分ほど蛆虫で埋まっているものもあるらしい。そしてこの蛆虫をアテにして食べながら、お酒を飲むのだ。

「メスカル」は、なかなか野生味があっておいしい。が、強い。「きっと蛆虫のエキスがお酒を強くしているんだろうなあ」と皆で言いながら飲みあっていたのだけれど、家に帰って小泉武夫の「奇食珍食」を読むと、虫の蛹を酒に漬けるのは、蛹から出るエキスで強い酒の刺激をやわらかくするため、および、良質の動物性蛋白質を採る(虫を食べる)ことによって、胃壁を守ったり肝機能を守ったりするためらしい。つまり、虫のエキスがお酒を強くしているんじゃなくて、もともと強いお酒を虫によって飲みやすくしている、ということ。まったく正反対の事を考えながら飲んでいたという訳だ。

 ところで「メスカル」といえば思い出すのは「メスカリン」なんですけど、どういった関係にあるのでしょうか? 「メスカリン」はペヨーテというサボテンから採れる「人類が最初に手にしたといわれるドラッグ」だけれども、「メスカル」は何から採れるのだろう。もしかしてお酒の部分はテキーラなのかな? 味は似ていたが。けれどもメキシコでは乾燥させたサボテンの事を「メスカル」っていうはずで、そこに「メスカリン」が含まれていて、それをクチャクチャと噛み続ける事によって幻覚作用が得られるはずで…。いや、別にどうでもいいんですけど。

 ちなみに「メスカル」も「ペヨーテ」も日本で入手可能。売っています。ご参考までに。

小川顕太郎 Original:2000-Oct-10;