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 Diary 2000・11月2日(THU.)

眠られぬ夜のために

 現在話題沸騰中の伊藤若沖展を観に行こうと、雨のなか、タクシーを飛ばして京都国立近代美術館まで行ったら、小出楢重展がやっていた。伊藤若沖展は国立博物館でやっているので、当たり前といえば当たり前だが、やっぱり腹が立つので、小出楢重展は観ず、道路を渡って京都市美術館に行って『京都市美術館コレクション展・第 4 期/眠られぬ夜のために・多彩な油彩』を観る。

 我々の他には客ゼロ。日本の洋画家達の作品を観る。田村宋立、浅井忠、安井曽太郎、梅原龍三郎などなどなど。それにしても、こういった洋画家達の歩みを観ていると、ほんとに日本の絵画というのは西洋の猿真似でやってきたんだなあと実感。特に、モロ印象派の作品を観ていると、悲しくなってくる。なぜだ。しかし、これは何も絵画に限った事ではなく、他のあらゆる文化現象においても同様だろう。音楽なんかでも、コンテンポラリー R & B やヒップホップの日本語バージョンみたいな最近の J-POP は、未だ聴いていて恥ずかしい。でも昔の GS やサイケ、ニューロックあたりはそんなに恥ずかしくないので、これは慣れの問題か。そうか、そうなのか?

 よく分からないが、例えばこの展覧会でも、おっ! と、いいやつがあった。北脇昇の『眠られぬ夜のために』『朱と紫』と三谷十糸子『独楽』だ。これらは昭和 12 年、20 年、5 年の作品だがメチャかっこよい。つまりはこういったのは胃袋の問題で、消化できているかいないか、後は才能の問題で、時流に関係なくいいものはいい悪いものは悪い、という事だろう。と、いい加減な納得のさせかたでそこを出る。

 人力車がゴロゴロ通っているのを横目で見ながら、川沿いに京都風情を楽しみながら、アヒルを眺め、商店街に寄り道などしながら河原町の方へ。本屋とレコード屋と百貨店をまわって帰途につく。途中でカフェ・ルゴールに行く。ルゴールとバザールとオパールの共通点は? それは語尾に「ール」がついている事だ。というのもあるけれど、全てにエキスポの手が加わっているという事だ。ルゴールには、エキスポの作ったテーブルがあって、我々はその席に座る。ギャラリー & カフェというスタイルで頑張っている店、ルゴール。アート & コーヒーというのは、現在のカフェブームの基調低音のひとつだろう。閉店間際なのに結構お客さんで賑わっていて良い雰囲気だ。私はカプチーノ、トモコはハーブティーを飲む。

 家に帰って鍋をする。今日買ってきたジミー・スコットの CD をかけながら、鍋をつついて焼酎を呷っていたら、そのまま寝てしまった。家で食事をするといつもこれだ。食って、満腹して、寝る。最悪だ。でも幸せ。このように、雨の休日は自堕落に過ぎて行く。

小川顕太郎 Original:2000-Nov-4;