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 Diary 2000・5月12日(FRI.)

ソウルサバイバーズ5月

 今回の「ソウルサバイバーズ」は、「ウイスキー・ア・ゴー・ゴー」@メトロとバッティングしているという悪条件を抱えていた。「ウイスキー・ア・ゴー・ゴー」といえば、東京でも老舗のモッズイベント。つまり普段なら「ソウルサバイバーズ」に来てくれるクラタニくんのモッド仲間が、全員メトロに流れる事が予想されるという訳だ。

 案の定、コラージュはガラガラだった。私が着いた時は、ゲスト DJ である元キョートジャズマッシブの KEITA という人が、レアグルーブをまわしており、それに合わせて木屋町っぽい人達が踊っていて、とてもノーザンソウルのイベントとは思えなかった。

 それでもいざノーザンソウルタイムに突入すると、ノーザンダンサー達が暴れはじめ、いつもの「ソウルサバイバーズ」に瞬く間に戻る。今回の「ソウルサバイバーズ」を特徴づけているのは、キタアキくんの不在である。勿論キタアキくんは「ソウルサバイバーズ」にとって一ゲスト DJ に過ぎない訳だが、やはり日本のノーザンソウルシーンのパイオニアとして、その存在感は大きい。クラタニくんもイチモトくんもイズミくんもイワブチくんも、みんなキタアキくんの影響下にノーザンソウルシーンに入ってきた訳だから、どうしても意識せざるを得ないのだろう。

 まず口火を切ったのはイズミくんだった。「ロンドンにいるキタアキくんとマイちゃんに」といって、THE AMBERS の「I LOVE YOU BABY」をかけたのだ。これはマイちゃんのフェイバリットナンバーであり、且つキタアキくんの持ちネタでもある。続いてイチモトくんが GENE CHANDLER の「MR. BIG SHOT」を、クラタニくんが HERB JOHNSON & THE IMPACTS の「I'M SO GLAD」を、そしてなんとブーツィーズ・レコードのヒラノさんまで TEMPOS の「HERE I COME」をかけたのだ。

 これらは全てキタアキくんが普段イベントでかけている曲である。これはみんなが秘かにキタアキくんの不在という穴を埋めようとしているのだろうか。というより、せっかく高いレコードを持っているのに、普段はキタアキくんがいるためにかけれないのを、ここぞとばかりかけたのだという方が、真相に近いだろう。みんななかなか大変である。

 クラタニくんは酷く酔っぱらっていて、ビールをこぼしたり、転んで顔面を強打したり、レコードの回転数を間違えたり、寝たりしていた。クラタニくんのこぼしたビールの上でアガくんが滑って転んだりして、なにかとドタドタしながらも、みんな気持ちよく踊る。基本的にノーザンダンサー達は激しく踊るので、少々人数が少なくてもその方がいいぐらい。雰囲気としては盛り上がりノリノリである。私はといえば、昨日のクルージンが祟ったのか、かなりしんどかった。それでも最後まで踊りきる。

 午前 5 時にイベントが終了し、しばらく放心してから外に出ると、外はすっかり明るかった。今日はこれから東京に行ってモッズメーデーで DJ をしてくる、というイズミくんに感心しながら、私は茫然と家路を辿り、家に着くなりそのまま寝た。

小川顕太郎 Original:2000-May-14;