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 Diary 2000・1月13日(THU.)

つるてん生楽

 神戸に行く。いつものことながら着いたのが夕方で、まずは小腹がすいたと「つるてん」に蕎麦を食べに行く。「つるてん」は私のフェイバリット蕎麦屋で、通いはじめてもう 10 年以上になるのだが、京都に引っ越してからは神戸自体になかなか来れないのに加えて、神戸に着いたらいつも夕方で他の店をまわっていると閉まってしまうので、ほぼ 1 年振りに訪れたことになる。

 この 1 年で髪も髭も伸ばしまくったので分かるかなあと思いつつ暖簾をくぐると、「昔に戻ったねえ」と言いながら、若旦那の小林さんが迎えてくれた。そうだった。学生時代の私は胸まである長髪だったのだ。ぶっかけ蕎麦を食べる。小林さんによると、神戸は不況が結構厳しくて、昔からある飲食店が次々と潰れ、地価もかなり下がっているそうだ。そして何故かその跡地に古着屋さんが続々と出来ているという。まあ、なんやかんやいっても若い奴は金持ってるからねえ。久しぶりに食う「つるてん」の蕎麦は最高だ。昔なら天丼も一緒に食うのだが、私も年をとって少食になったので、蕎麦湯を飲み干すだけで満足して店を出る。

 去年の「オリーブ」のカフェグランプリを堂々受賞したカフェ「マドマド」に行く。ここはカフェ「マヒシャスラマルディニィ」の系列店らしい。「マヒシャ…」は開店当時から知っている。開店した頃は「ケン」という名のやたらハイテンションのお兄さんがいて、「AZ」などニューエイジ系の雑誌や諸星大二郎のマンガなどが並び、メニューはインド系、床には砂が敷き詰めてあり、怪しげな外人達とケンが大声で喋っている、といったお店だったのだが、いつのまにかケンがいなくなり、そうこうしているうちに内装も今風のお洒落のカフェとなり、「オリーブ」のカフェグランプリを堂々受賞するような系列店を擁するほどになった。私とトモコはケンの現在に思いを馳せながら、中国茶を啜る。ここは今流行りの「中国茶・日本茶」を飲ませるカフェなのだ。なかなかイイ感じ。それにしてもケンはどうしているのだろう。

「ニューミュンヘン神戸大使館」に行く。震災後、建物が新しくなってからは初めてだ。ここは店の地下で地ビールを作っている。普段はビールなんか飲まない私もここではその地ビールを注文する。まあ、ここの日本酒が「菊正宗」っていうのもあるけどね。たまに飲む地ビールは結構おいしい。しかし全部飲み干すのはちょっと、って感じなんだなあ。今日は時間がなくて訪ねられなかったが、キタアキくんなら気持ちよくガンガン飲み干すだろうとトモコと語らう。キタアキくん、今度一緒に行きましょう。

「MOTHER MOON CAFE」に行く。ここは震災後に、廃墟の中で営業しているのを訪ね、店の外のテーブルで、廃墟を眺めながらコーヒーを飲んだ思い出のあるカフェだ。実はそれ以来初めての来店で、なおかつ店の中で飲むのも初めてだ。狭い店内はお客さんで溢れ、活気に満ちている。アシッドジャズというかフューチャージャズっぽい音楽が、大きめの音量で流れている。トイレが店の外にあって、お店のスタッフに鍵を貰って行くという、なんか外国風。壁に大きな鏡が掛かっているのも、イタリアのカフェを思い出させる。うん、これは流行るでしょうね。お客さんの大半は若い女性でした。オパールも頑張らにゃあ。

 つうわけで京都に帰る。普段カフェをやっていると、休みの日には無性に他のカフェに行きたくなるものです。やっぱお客さんは楽しいぜい。

小川顕太郎 Original:2000-Jan-15;